書店員3,000人が選ぶ「MOE絵本屋さん大賞2025」結果発表

『第18回MOE絵本屋さん大賞2025』が12月26日(金)に発売される『MOE2月号』(白泉社)で発表された。
『第18回MOE絵本屋さん大賞2025』は書店の絵本担当者3,000人に聞いた「今、もっとも おすすめしたい絵本」を決定する大会。今回、第1位を受賞したのは、内田有美/文・絵 満留邦子/料理 三浦康子/監修『おせち』(福音館書店)。部門賞では、「新人賞」第1位を押本達希/作『すいかのたね』(ブロンズ新社)が受賞。「ファーストブック賞」第1位をはらぺこめがね /作『おにぎり ぱく!』(白泉社)が受賞した。本日発売のMOE2月号では、表紙や巻頭で『第18回MOE絵本屋さん大賞2025』を特集。第1位を受賞した内田有美のインタビューをはじめ、受賞作家の方々より寄せられたコメントなどを掲載している。
1位の『おせち』は「くろまめ ぴかぴか あまい まめ。」「きんとん きんかん きんいろ こがね。」おせち料理に込められた願いを、磨かれた言葉と美しい絵で丁寧に紹介。和のお正月の気品漂う一冊。著者の内田有美は「MOE絵本屋さん大賞に選んでいただき、嬉しいです。どうもありがとうございました。幅広い年代の方が楽しめる絵本をお届けできるよう、これからもがんばりたいです。ありがとうございました。」とコメント。精文館書店の商品部、菅井理恵は「写真かと見紛うほどの美しい絵と、リズムのいい文。日本人が言葉遊びの中に込めてきた願いと想いを、今の、そしてこれからの世代に伝えていく、クラシックでありながら新しい絵本。絵本を見ながら、何年ぶりかで子どもと一緒におせちをお重に詰めました。毎年、お正月には眺めたい(そして売りたい!)1冊です。」とコメントした。
3位の『どろぼうジャンボリ』の著者、阿部結は「MOE絵本屋さん大賞3位ありがとうございます!!この本が書店員さんひとりひとりのこころにたくさん届いたということをとてもうれしく思います。書店員さんの手からさらに読者のみなさんの元へ届き、末長く楽しんでいただけますよう!」とコメント。4位の『まてないの』のヨシタケシンスケは「投票してくださったみなさま、ありがとうございます!長所でもあり、短所でもある待てない性格。そんな子が、ちょっとまてるようになるまで何十年もかかる。そんなお話です。あなたがこの本を読んでくれるまで、まてないの!」とコメントした。コメントやレビューの内容は MOE2026年2月号より抜粋されており、全文は誌面にて掲載されている。
MOE統括編集長、門野隆は受賞作品の傾向について「まず、今年のキーワードとしては「コミュニケーション」があげられます。第1位に選ばれた「おせち」は、日本の伝統文化を次世代に伝えていくという、ややもするとお堅い内容でした。その内容を抜群の画力で表現したおいしそうな絵と、考え抜かれた楽しい文章で表現し、何度も読み返したい1冊になっています。この本は親子で一緒に話し合いながら「おせち」を楽しく学べる作品です。第2位の「大ピンチずかん3」は、「絵本」というジャンルでは手薄な読者だった小学生たちの間で多く読まれました。趣味やエンターテイメントを細分化する現代において共通の話題をつくることは難しいのですが、「大ピンチ」というテーマは、家族関係や友人関係を「大ピンチ」をきっかけに親密につないでくれました。その他の作品もそれぞれテーマの扱い方は違いますが、絵本を通して話題を広げたり、つっこんだり、盛り上がるための「コミュニケーション」ツールとして大活躍の1年でした。」とコメント。
絵本市場の最新動向については「2025年は、とにかく「大ピンチずかん」「パンどろぼう」の2大シリーズが絵本界を席巻した1年でした。シリーズ最新刊だけでなく既刊も非常によく売れ、各書店の売り上げランキングを2つのシリーズで独占していました。「ノラネコぐんだん」やSNSで人気のまめきちまめこさんの「メロとタビ」も含め、シリーズものの絵本を楽しみにしている読者が増えています。また、シリーズものの絵本の特徴として絵本だけにとどまらない展開があります。各版元によってIPとしての利用が積極的に行われ、グッズ化、企業コラボ、映像化など絵本を飛び出したさまざまな場所でキャラクターを目にする機会が増えました。これも絵本としては珍しい展開で、若者層を中心とした大人のファンも獲得することに成功しています。特に2025年は絵本の展覧会が多く開催され、原画展にとどまらない入場者参加型の展示やハイクオリティなグッズ販売で、親子連れから大人のファンまで多くの方が訪れました。」今後の展望や2026年の注目絵本について「ミニチュア写真家の田中達也さん、本物そっくりの木彫りで話題のキボリノコンノさんなど他ジャンルで活躍をするアーティストの絵本が増えています。絵本と関係がなかった、もしくは絵本を作ろうと思ったことがなかった「おせち」の内田有美さんのようなアーティストが絵本に参入することによって、既存の概念を打ち破る新しい作品が生まれてくることを期待したいです。」とコメントを発表した。
■書誌情報
『MOE 2月号』
価格:990円(税込)
発売日:2025年12月26日
出版社:白泉社






















