嶋津輝『カフェーの帰り道』が直木賞候補入り “百年前の女性たち”の物語が話題

嶋津輝『カフェーの帰り道』直木賞候補に

 嶋津輝『カフェーの帰り道』(東京創元社)が第174回直木賞候補にノミネートされた。

 『カフェーの帰り道』は、大正から昭和にかけて、東京・上野にあるカフェーで女給として働いた女性たちを描いた短編集。時代に翻弄されながらも朗らかに働き、何気ない日々を大切に生きた“百年前のわたしたちの物語”ともいえる作品となっている。嶋津輝にとっては2回目の直木賞候補となった。

 選考会は2026年1月14日(水)16時より行われる予定だ。

 東京・上野の片隅にある、あまり流行っていない「カフェー西行」。食堂や喫茶も兼ねた近隣住民の憩いの場には、客をもてなす個性豊かな女給がいた。竹久夢二風の化粧で注目を集めるタイ子、小説修業が上手くいかず焦るセイ、嘘つきだが面倒見のいい美登里を、大胆な嘘で驚かせる年上の新米・園子。彼女たちは「西行」で朗らかに働き、それぞれの道を見つけて去って行ったが……。大正から昭和にかけ、女給として働いた“百年前のわたしたちの物語”。

嶋津輝(しまづ・てる)

1969年東京都生まれ。2016年、「姉といもうと」で第96回オール讀物新人賞を受賞。19年、同作を含む短編集『スナック墓場』で書籍デビュー(文庫化にあたり、『駐車場のねこ』と改題)。23年刊行の長編『欅(たすき)がけの二人』で第170回直木賞候補となる。『猫はわかっている』『私たちの特別な一日 冠婚葬祭アンソロジー』などのアンソロジーにも作品が収録されている。

目次

「稲子のカフェー」
「嘘つき美登里」
「出戻りセイ」
「タイ子の昔」
「幾子のお土産」

■書誌情報
『カフェーの帰り道』
著者:嶋津輝
価格:1,870円(税込)
発売日:2025年11月12日
出版社:東京創元社

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