【漫画】無神経な態度に救われることもある? 身勝手な友達と絆を育む漫画『友川の手帳』

【漫画】無神経な態度に救われることも?

 話したこともない大学の同級生から、突然声をかけられたヘルプマークを身につける青年。彼はヘルプマークを見た同級生から、まさかの提案をされて……。

 友達の身勝手さが心を救う漫画『友川の手帳』が、Xにアップされた。作者は、毎月Xにて短編漫画を発表している漫画家の柏木大樹(@kasiwagidaiki)氏。

 今回は創作の経緯やテーマについて、柏木大樹氏に話を聞いた。(青木圭介)

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『友川の手帳』(柏木大樹)

ーー創作の経緯を教えてください。

柏木大樹:本作は、ヘルプマークから着想を得て考えました。娘がいるんですけど、将来ヘルプマークをつけて活動するようになる子なんです。なので、「将来娘に気の置けない友達ができたらいいな」ということも考えながら描きました。

ーー少し繊細なテーマを扱ううえで、気をつけたことはありますか?

柏木大樹:逆に気をつけすぎないように意識しました。気をつけすぎて、作中で友川を気遣っている周りの人たちみたいにならないようにというか。本作は編集部や出版社を通している作品ではありません。私が勝手に描いて発表している作品です。なので規制などは特になく、おそらく編集部を通してたら使えないだろうなという言葉も、そのまま入れています。

ーー自分勝手なはずの根岸くんを、なぜか嫌いになれないのが不思議な感覚でした。

柏木大樹:根岸の振る舞い自体は、特に気を遣っていないんです。周りから嫌われている根岸ですが、根岸は根岸として好きに行動してくれればいいなと思っていました。意識したのは根岸の振る舞いに対する、友川の受け取りです。友川がプラスで受け取っているから、まったく気を遣っていない根岸の好感度が落ちすぎなかったんだと思います。根岸と仲良くなれたのも、友川だったからこそかもしれないですね。

ーー所々で、娯楽に否定的な感想を言うシーンを入れた理由は?

柏木大樹:私のなかで、10代の若者はまだ作品を理解しようとする努力みたいなモノがないと思うんです。大人になると、わからないモノもわからないなりに良さを理解する努力をするじゃないですか。それがない、純粋に見たままを口にする10代らしさを出しました。

ーー本作のなかで、柏木氏自身が気に入っているシーンを教えてください。

柏木大樹:やっぱりラストシーンが好きです。一緒にうなぎを食べに行く約束をするんですけど、ここで根岸のなかに身銭を切ってでも友達と一緒に行動するという選択肢が生まれました。そこに着地するのをしっかりと描けたのが、自分でも嬉しかったので気に入っています。

ーー柏木氏が好きな漫画家は?

柏木大樹:『ヴォイニッチホテル』などを描かれている、道満晴明先生が好きです。短編がすごくお上手な方で、こういう作品の発表の仕方をしていいんだと、勝手に学ばせていただいています。

ーー最後に、今後の漫画家としての展望を教えてください。

柏木大樹:近々で絵本のネタを思いついたので、今は絵本を制作してみようかなという密かな野望があります。今後も引き続き短編漫画を発表しながら、少し違うジャンルにもチャレンジしていきたいです!

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