柳楽優弥×SixTONES 松村北斗コンビは『九条の大罪』のリアリティをどう表現する? 新たな弁護士像への期待

漫画『九条の大罪』の実写化が決定し、2026年春にNetflixで世界独占配信されることが発表された。
主演は柳楽優弥。共演はSixTONES・松村北斗、池田エライザ、町田啓太、音尾琢真、ムロツヨシら実力派俳優陣がズラリ。監督は『カルテット』『罪の声』の土井裕泰、脚本は根本ノンジが担当する。
『闇金ウシジマくん』を手がけた真鍋昌平が描く『九条の大罪』は、2020年に「ビッグコミックスピリッツ」(小学館)で連載が開始され、10月30日には最新15巻の刊行が予定されている。物語の中心となるのは、どんな依頼も受ける弁護士・九条間人だ。「思想信条がないのが弁護士」という考え方を持ち、依頼人を貴賤や善悪で選別しないため、半グレ、ヤクザ、前科持ちなど厄介な案件ばかり引き受ける。そのため、世間では「悪徳弁護士」と呼ばれているが、金持ちでも貧乏人でも着手金は一律33万円と良心的だ。
本作は、弱者を助けるこれまでの弁護士ドラマとは明らかに一線を画す。“正義の勝利”ではなく“勝者が正義”という現実が随所に盛り込まれ、読者はそのたびにド肝を抜かれたことだろう。
第1話では、飲酒かつゲームをしながらの脇見運転でひき逃げをした半グレを弁護することになるが、「まず酒が抜けてから出頭する」と罪軽減のために証拠隠滅の助言。アルコールを抜くための方法まで具体的に指示する生々しさだ。被害者側は父親が死亡し、息子は片足を失うのだが、「泣き叫ぶ母親の次のページで、加害者がぐっすり眠っている」描写は、真鍋作品ならではの残酷さ。しかも、被害者は弁護士をつけなかったため、本来払われるべき保証を得られない。
本作を読んだというさる弁護士YouTuberによれば、「保険会社は弁護士をつけているか、つけていないかで明確に補償金額に差をつけている」と言い、真鍋氏の取材力に脱帽していたが、法をうまく使う加害者と、法に搾取されてしまう被害者の対比を見るにつけ、「無知は罪」なのかと読者は思い知らされる。
真鍋氏の取材力は、作中の細かい部分にも垣間見える。たとえば、大物ヤクザの初登場シーンは歯医者と思しき一室。しかも、歯のホワイトニング中なのだ。見栄を張るヤクザ社会では、カネを持っているヤクザは身ぎれいにしているという真鍋氏が実際に見聞きした情報が反映されたシーンだろう。他にも、性産業のリアルな描写や半グレの生活も細部までこだわっているのがよくわかる。
『闇金ウシジマくん』と共通するのは、真鍋氏が街と人間とそこに集う欲望をテーマにしている点だろう。実際、単行本の各表紙には、街に溶け込む九条の姿が描かれており、そのことを象徴している。
『闇金ウシジマくん』の実写化では主演の山田孝之が「無表情でも空気で魅せる」表現力で作品の魅力をさらに引き上げてみせたが、今作ではディズニープラスの大ヒットドラマ『ガンニバル』の“怪演”の記憶も新しい柳楽が弁護士界の異端児をどう演じるのか楽しみだ。さらに東大卒の若手エリート弁護士で、九条の元でイソ弁として働く烏丸真司を松村が演じるのも期待値を膨らませる。松村といえば、近年はアイドルの枠を飛び越えて役者としても強い存在感を発揮。公開中の主演映画『秒速5センチメートル』の演技が大絶賛されている。「型破り&正義」という正反対の弁護士という設定が、「法とモラルの境界線」を描く本作にどんな彩りを加えてくれるのか。名作の予感しかしてこない。






















