【漫画】付き合ってキスまでは何日? 恋愛に効率を求める女子高生とのラブコメ『効率厨の彼女』

【漫画】付き合ってキスまでは何日?

TRPGが誕生のきっかけ?

――今回『効率厨の彼女』を制作した経緯は?

杉岡:月刊連載や転職が重なり、なかなか読切のネームも通らず1年近く新しい作品が出せなかった時、「原点回帰でラブコメを描こう!」と思ったのがきっかけです。

――効率厨の女の子がメインの作品でしたね。

杉岡:趣味の一つとしてTRPGにハマっているのですが、それに使用している自作キャラの1人に“効率厨で人の感情がわからない警察官”という人物がいました。そのキャラの言動や発想を「面白い」と一緒に遊んでいる友人に褒めてもらったことがあり、「いつか漫画のキャラとして登場させられたらいいな」と思っていました。また、TRPG上では男性キャラでしたが、「もしこのキャラが彼女だったら面白いのでは?」と思い、メインにしました。

――一緒にクレープを食べたりなど、ストーリーはどう決めましたか?

杉岡:最初は遅待をメインに展開していましたが、担当さんに「この内容ならヒロインが9割の漫画でいい」とアドバイスをもらってストーリーを変更していきました。キャラクター重視の物語なので「関係性や舞台はなるべくシンプルにしよう」と思い、公園デートというベタなシチュエーションの中で収めるように意識しました。

――改めて速瀬と遅待というキャラはどのようにして生まれたのですか?

杉岡:先述した通り、速瀬はロールプレイを通して深掘りしてきたキャラクターだったので、性格はほとんど固まっていました。その対比になるようにのんびり屋で懐の広い男として遅待を作っていきました。

――キャラはどのあたりにこだわりましたか?

杉岡:速瀬は前髪を切る頻度を減らすために短めに、化粧っ気もなく、靴下も脱ぎ履きしやすく短いもので、といった感じです。一方、遅待はオシャレに気を遣っている人物で、また「ロマンチストな面がある」という意味で考古学や歴史が好きで、埴輪のピアスをつけていたり、作中では見えませんがツタンカーメン柄のTシャツを着ていたりします。

ボツになったシーン

――本作の面白ポイントである速瀬の効率厨すぎる言動はどのように決めましたか?

杉岡:「効率を求めすぎる×羞恥心がないという女の子がどうなったらドキッとするかな、ちょっとエロいかな」ということを先に考え、言動を決めていきました。ちなみに、ボツになりましたが、「速瀬が遅待のことを下の名前で呼び、ドキッとさせた後に『文字数が少ないので』という理由でガッカリさせる」といったシーンも考えていました。

――速瀬の効率厨すぎる言動を決めるうえで注意したことも多そうですが。

杉岡:速瀬の言動や行動そのものは一見「人の心がない!」と思われがちですが、それが許されるよう、速瀬をとにかく可愛く描くことは意識しました。また、遅待がそれを肯定して許してくれることで、読んでいる人にも不快感よりも、面白さや不器用な可愛さが伝わるように注意しました。

――速瀬の表情でこだわったことは?

杉岡:「無表情だけどかわいい」というキャラの中で、私が好きな『モブサイコ100』(小学館)の主人公・モブ君がいます。以前、モブ君のイラストを描いていた時、「小さい口の変化や瞳のハイライトの有無で微妙な感情の変化を出す」という学びを得ていたので、その経験を生かしました。

――今後はどういう作品を描いていきたいですか?

杉岡:現在、電子書籍レーベル・「コミックパルフ」で、アメザリひらいさん原作の『ぜっぴん!子ども食堂』という月刊漫画の作画担当をさせていただいています。家事育児をしつつ、「毎月30ページ以上の漫画を仕上げまで含めて描く」というなかなか大変な仕事ですが、確実に自分の糧になっていると実感しています。実際、この『効率厨の彼女』についても「少年サンデー」(小学館)の月例賞で努力賞をいただき、「本業漫画家として少しでもステップアップができているのかな」と一安心しております。

 現在も新しい読切作品を制作していますが、さらに上の賞を獲れるように担当さんの協力を得ながらブラッシュアップしている最中ですので、面白い作品を世の中に出せるよう精進していきます。「自分の単行本を本屋で見ること」という夢に向かって頑張ります。

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