【漫画】“変異者”とは友達になれるのか? 子供の純粋さと残酷さを描く『羽を持つ少年たちの話』が深い

「子供らしさを表現したい」という思い
――“変異者”が存在する世界の友情物語を制作した背景は?
片山:「子供達の無邪気さや優しさ、その中にある無垢な悪意」を表現したいと思ったことが最初です。子供だからこその自分の感情に素直に行動をする様子を描いた作品に仕上げました。
――言われてみると、いろいろな子供らしい感情が見られる内容でした。
片山:そうですね。主人公は自分と同じ症状を持つ子への同情心・親近感を持って無条件で優しくする。主人公の周りの子達は友達を取られたと感じて感情のままにハヤトをいじめる。子供だからこその素直さ、行動力、残酷さを組み入れようと意識してストーリーを膨らませました。
――親や教師といった大人が登場しなかったこともその狙いがあったのですね。
片山:はい。子供ながらの無邪気さ、疎外感、悪意は大人が思っているほど可愛らしいものではありません。それらはやはり子供達の輪の中でしか感じられない、表現できないと感じました。「小学校高学年の子供達は世間知らずではあるものの、精神はもう大人であるのかな」と思っており、子供らしく、子供らしくない表現を求めて本作を制作しました。
——変異者の設定はどのように決めたのですか?
片山:小学生くらいの子供達は今までの関係性などに関係なく、「見た目が気持ち悪いから」「話し方が変わっているから」といった人間の表面の特徴の違いだけで、いじめが始まるケースは珍しくありません。少し周りと違うだけで残酷な一面を見せる素直さをわかりやすく伝えるため、目で見てわかる“変異”を設定しました。
――ちなみに変異者という名前にした理由は?
片山:この症状に対して奇妙さや不安を与えたかったからです。読者さんにもこの人間は周りと違い、変わっているという認識を持ちやすくするためにネーミングしました。
——子供らしさを表現することを目指した作品のため、リクの感情にはとても共感させられました。リクの感情を表現するうえで配慮したことなどは?
片山:リクは「周りのみんなにカッコイイ」「尊敬される存在でいたい」という願望を持ち、自由で活発に見えるその一方で、「人に嫌われたくない」と周りの目を気にしながら生きており、そのギャップを表現するように意識しました。この複雑な心情は一見大人びている考えに見えますが、実は子供らしく素直な感情にも感じます。この大人のようで子供らしい感情の表現を軸にストーリーを考えました。
——表情からも子供らしさが伝わりました。表情を描くうえで意識したことはありますか?
片山:本作の描写で大切にしていたのは“目”の表現でした。「目は口ほどに物をいう」という言葉がある通り、セリフや文字がなくても目の描写でキャラクターの複雑な心情がわかるように意識しています。「楽しい時、嬉しい時の感情はどんな感情よりも伝えなければならない」と考えており、特に笑顔の表情はどれも力を入れました。
――最後に今後の活動予定など教えてください。
片山:今後も大学生をしながら担当編集さんと一緒に漫画制作を進めていく予定です。SNS、主にXでの活動をみなさんに見てもらえると今後のモチベーションにもなるのでよろしくお願いします。自身の連載を持つことを夢見て突き進んでいきます。






















