四千頭身・後藤拓実「タワマンにトラウマがあるんです」 浮き沈みの多かった5年間を振り返って
お笑いトリオ、四千頭身の後藤拓実の2冊目の著書となるコラム集『安心できる男(ひと)』(中央公論新社)が、2024年12月6日に発売された。読売新聞夕刊で5年間にわたって連載されたコラムを集めたもので、後藤の頭の中が丸わかりになる内容になっている。注目すべきは、各コラムに解説という名の反省文が大量に加えられていること。これを読むことで、浮き沈みの多かった5年間の詳細な心の動きが、さらにわかるようになっている。今回は後藤本人に『安心できる男』のより詳しい解説・反省を聞いてみた。
連載は「待ちに待っていた」
ーー5年という長期にわたる連載でした。最初に執筆の依頼が来たときは、どう思いましたか?
後藤:本当にこういうのがあるんだみたいな感じです。連載とかやっている人は何人か知っていたんで、こうやって依頼が来るんだって。
ーー自分に依頼が来るとは思っていましたか?
後藤:思っていました。なにか書くだろうとは自分で思っていたんで。待ちに待っていたという感じで、読売新聞さんはさすがだなと、そう思いました(笑)。
ーー初めての連載執筆でしたが、苦労はありましたか?
後藤:800文字と、そんなに文字数も多くなかったので、むしろ楽しかったです。漫才のネタも短いほうが書きやすいので、コラムも短いものは平気でした。ただ、もうひとつの連載と重なったときは、ネタ出しがしんどいときはありました。何時間も考え込んでいたりとか。
ーー連載のネタ探しは、ふだんから意識していたんですか?
後藤:意識はあまりしていないですね。面白いことが起きているなってときだけ、これいけるかもって覚えておく感じです。
ーー小学生とドッジボールをしたコラムがありますが、そのときも?
後藤:僕はただ単にドッジボールを楽しみたかっただけなんですけど。あまりに嫌な思い出だったなと思ったときに、じゃあなんとかしようかと、笑いになりそうなところを見つけていって書いた感じです。
家族からは「クレームが入るかもしれない」
ーー楽しかったという連載ですが、いざ本になって5年分の文章を読み直して、どう思いましたか?
後藤:本になるということで、昔の原稿をもう一度読み直したんですが、「これ本になるの?」みたいなものが何個かあって。ちょっと反省文を、反省文というか言い訳ですよね、言い訳を入れさせてもらわないとキツイなと思って、入れさせていただきました。
ーー当時と今では感覚が変わったということですか?
後藤:そうですね。そのままでは本にしたくなくて。やろうと思えば修正できたんですけど、文章を変えるよりは、ありのまま出して、こっちからツッコんだほうがいいかなと。解説のところでツッコんでいくという。
ーー本の中で気に入っている、満足しているコラムはありますか?
後藤:花見のコラムです。これはなかなか苦い思い出です。
※「花見では桜を見ない」小学生の頃の花見の思い出を書いたもので、家族をネタにしている。
ーーかなり面白おかしく書いていますが、家族からクレームは入りませんでしたか?
後藤:連載当時、父が夕刊の入手方法がわからないということで、ひとつも読んでいないそうなんですよ。夕刊はコンビニエンスストアでは売っていなくて、販売店に行かなければならないんで。この本を渡したら、クレームが入るかもしれないですね。ドキドキしています。
ーー妹もけっこう登場していますが、そちらも読まれていないんですか?
後藤:はい。連載するとか言ったら小遣いをせびられる可能性があるので、すべて無許可でやっています。もし読んだら、感想ほしいです。
ーー逆に気に入っていないコラムはありますか?
後藤:ヤバいのあるんです。チョコの話ですね、バレンタインの。ぜんぜん面白くない(笑)。
※「僕宛でないチョコ」中学生時代のバレンタインの思い出を書いたもの。
後藤:もし反省文なしで本になっていたら、本当に怖かったですね。それでも出すということになったら、新しいのを書きますって言っていました(笑)。