『ゲッターロボ』50周年 日本ロボット史における“画期的”な功績を振り返る注目シリーズ しげる評
■『新世紀エヴァンゲリオン』との関連
やや余談になるが「あの手この手で毎週攻めてくる謎の敵」、「巨大ロボット開発者とパイロットの血縁関係」、「スカウトによる搭乗者選び」というゲッターロボ的なロボットアニメのお約束を正面からパロディの題材にしたのが『新世紀エヴァンゲリオン』である。「巨大機関によるよくわからない選抜によって、全国の少年少女から選ばれた精鋭がロボットに搭乗する」というお約束で選ばれた主人公グループは、大抵は心身ともに尋常ならざるスペックを持ち、並外れた特技を持つキャラクターの集まりである。マンガ『ゲッターロボ』でも、流竜馬は武道家の父親に激烈な育てられ方をした快男児だし、神隼人は狂気の学生運動リーダーにして素手で思いのままに人体を破壊する身体能力の持ち主だった。
『エヴァンゲリオン』はこのお約束に対するパロディとして「しかし、ロボットもの特有の謎選抜によって選ばれた主人公が、ごく普通のナイーブな少年だったら?」、「しかもロボット開発者との血縁関係だけは濃厚に存在したら?」という視点を持ち込み、主人公である碇シンジの尋常ならざる葛藤を生み出した。このパロディ要素の元ネタを直接読むことができる作品としても、マンガ『ゲッターロボ』は貴重な作品である。
日本におけるロボットものの原風景のひとつでありながら、マンガ『ゲッターロボ』の歴史ををまとまった形で読もうと思うと、それなりに苦労が必要だった。しかし、『ゲッターロボ』生誕50周年を意識した企画として、一連の作品を統一された形で再刊行するムーブオンコミックスの試みは、本作が語り継がれる上で意義のあることだと思う。
もう一点書き加えておくならば、ムーブオンコミックス版の特徴として「価格帯」という点もあるだろう。1冊あたり400ページを超える分厚さながら、価格は一冊1400〜1650円となっており、はっきり言ってお買い得である。カバーイラストが永井豪氏による描き下ろしである点も、ファンならば見逃せないポイントだろう。年齢的にはもうすぐ80歳に迫る永井豪氏だが、ムーブオンコミックス版の表紙で見せる筆致はシャープそのもので、シンプルな線画からは年齢を感じさせないカッコよさが漂っている。
現在刊行されているムーブオンコミックス版「ゲッターロボ」作品は、『ゲッターロボ』(全2巻)と、『ゲッターロボG』(全1巻)の3冊。今後は『ゲッターロボ號』(全3巻)が11/25に発売され、『真ゲッターロボ』、『ゲッターロボアーク』も今後毎月刊行される予定だという。せっかく買い求めやすい形で刊行されるので、ここはぜひとも『ゲッターロボ』シリーズに触れたことのない人にも読んでみてほしい。70年代のムチャクチャなエネルギーを抱えたまま、思わぬところまで読者を引っ張っていく永井豪氏・石川賢氏の真骨頂が体感できるはずだ。
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『ゲッターロボ 1』