「主語がデカい」は漫画『さよなら絶望先生』がオリジナル? 久米田康治作品の秀逸すぎる“言葉選び”

漫画家・久米田康治、言葉選びのセンス

■ネットスラング「主語がデカい」の生みの親は?

 XなどのSNSでしばし使われる言葉の一つが、「主語がデカい」だ。おそらく、SNSユーザーであれば一度は耳にしたことがあるはずだ。先日行われた衆議院議員選挙で、「“私たち”日本人みんなの願いは政権交代」などと書いた人に対し、「それは主語がデカすぎ」などと突っ込まれることもあった。その汎用性の高さから、ネットスラングとして定着している。

 そんな「主語がデカい」もしくは「主語が大きい」の生みの親とされる人物をご存じだろうか。漫画家の久米田康治である。諸説あるものの、漫画『さよなら絶望先生』(講談社)で主人公の糸色望が発したセリフが元と言われており、「このバワーワードを生み出した功績は周知されるべき」などとSNS上で話題になっている。

 作中で「主語がデカい」人の例として、糸色望は以下の例を挙げている。一人しかいないのに「“私たち”住民は断固反対する」と発する人。全員に聞いたわけでもないのに「“我々”都民は我慢の限界」と、自分の意見をみんなの意見のように言う人。まさに、言い得て妙であり、社会風刺を盛り込んだギャグが多い『さよなら絶望先生』らしい表現である。

 漫画の連載は2012年に終了しているが、「主語がデカい」はあまりにインパクトが強かったためか、漫画のコマのスクショと合わせて現在もたびたび引用される。前出のように、久米田が発明した言葉かどうかは諸説あるようだが、少なくともこの言葉を広めた立役者であることは間違いない。『さよなら絶望先生』のキャラと絵の魅力のおかげで、広まったとみていいだろう。

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