ドラえもん『ききがきタイプライター』『近道マップ』……夢のひみつ道具、リアルになったもの4選
藤子・F・不二雄原作の漫画・ドラえもん。1969年に連載が開始された漫画だが、令和の現在も高い知名度を誇っている。
ドラえもん最大の魅力といえば、「どこでもドア」「タケコプター」などの人間の「こんな事できたら良いな」をかなえるひみつ道具の数々。なかには時を経て、現実になったガジェットも存在する。本稿では「現実化されたひみつ道具」の第二弾をお届けする。
ききがきタイプライター ⇒音声認識ソフト
マイクに向かってしゃべると、文字起こしをしてくれるさきがきタイプライター。手紙を書くことが苦手なのび太のために、ドラえもんが出したひみつ道具だ。
のび太がマイクに向かって「おじさん元気ですか」と叫ぶと、文字起こしされた紙が出力される。驚いたのび太が「わ、ちゃんと書けた」と叫ぶと、その言葉も紙に書かれてしまい、ドラえもんは「余計なことをしゃべるとタイプされるんだよ」と注意を与えた。
現在の世の中では、音声認識を搭載したアプリが登場しており、「自分が喋ったことを言語化してアウトプットする」ことは、比較的容易に行うことができる。また、「余計なことをしゃべるとそれも認識したうえ、タイピングしてしまう」ことも、現在ではよくある光景だ。
近道マップ⇒Googleマップ
タブレットのような端末に地図が表示され、現在地と目的地をタップすると近道が表示される近道マップ。漫画では猫の近道を検索するために使われた。
現在では車に搭載されたカーナビゲーションシステムや、スマートフォンのGoogleマップなどのアプリで、簡単にルートを調べることができる。昭和や平成初期はこのようなシステムはなく、地図のみが頼りだったため、目的地にたどり着けないことも多かった。
六面カメラ⇒360℃カメラ
ルービックキューブのような形をした「六面カメラ」。1回の撮影で被写体の上下左右前後を写すことができる。のび太はこのカメラでしずかちゃんを撮影。現像した写真をプレゼントしたが、真下からスカートの中を写した写真だけは、「ピンボケだ」と嘘をついて持ち帰った。1つのカメラで全方位を撮影できるという機能は、360度カメラで現実化している。もちろん下からのアングルを撮影する機能はついていない。
うそつきかがみ ⇒加工カメラ
自分の容姿を美男・美女に変換して映し出す「うそつきかがみ」。感情を持っており、鏡に映った自分にうっとりして、「世界一の美男子なのでは」とつぶやくのび太に「そうです。あなた様は世界一なのです。私は真実を映し真実を語ります」などとウソをつくことができる鏡だ。
容姿を褒め続けるうそつきかがみは、最終的に「ブサイク」になるよう巧みに誘導する。物語でしずかちゃんやジャイアンはもちろん、のび太のママもウソに翻弄されてしまった。
さすがに「顔を加工したうえ嘘をつくアプリ」は存在していないが、スマホに搭載される「加工カメラ&アプリ」は、「自分の顔を美しくして写す」という点においては共通している。アプリでは男性の顔を女性にする、若くすることなども可能だ。
藤子・F・不二雄の「こんな事ができたら良いな」というアイディアが詰まったドラえもんのひみつ道具。人類の叡智で、1つでも多くの有用な道具が現実化することが期待される。
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