ウルトラマンとスパイダーマン、日米ヒーローが漫画でコラボ Ultramanは世界を制することができるのか?

■日米二大ヒーローがコラボする本格的なSFコミック

週刊コロコロコミック【公式】Xより@CorocoroWeekly

 週刊コロコロコミックにて、『ウルトラマン: アロング・ケイム・ア・スパイダーマン』が連載開始となった。タイトルの通り、ウルトラマンとスパイダーマンという日米の二大ヒーローが共演する内容となっており、SNSなどでも公開直後から話題となっている。

  知名度抜群のヒーローの共演という点に加え、『ウルトラQ』の異次元列車を引用したり、スパイダーマンの本名であるピーター・パーカーを意識した深海怪獣ピーターが登場したりと、マニア向けの目配せも窺わせる本作。この作品以前にも、近年ウルトラマンとマーベルは密接な関係を作り上げてきた。

  ウルトラマンシリーズを製作する円谷プロダクションは2019年にマーベル・コミックと提携。以来、主に海外で発売されるコミックの分野でウルトラマンを題材にした作品を製作している。代表的なものとして、2020年から刊行されたそのものずばり『Ultraman』というシリーズがある。

 この作品の舞台は2020年。40年以上にわたって世界各地に出現してきた怪獣を、防衛組織USP(統合科学警備隊)は人知れず闇に葬っている。しかし怪獣対策は社会に明かされておらず、USPがどのように怪獣を退けてきたかは公にされていなかった。そんな中、新米USP隊員のキキ・フジとそのボーイフレンドでUSP隊員志望のシン・ハヤタは、ひょんなことからUSPが隠していた異星人とのコンタクトに巻き込まれる。そしてこの異星人とUSPとの間には、1966年に発生したある事件が関わっていた……というストーリーである。

 これは、本家『ウルトラマン』の設定を流用・再構築し、ファンも納得のディテールを盛り込みつつ、本格的なSFコミックにまとめた良作だ。「人智を超えた力を持つ超人が、人間を助ける」ということがはらむ本質的なジレンマや問題点に向き合った作品でもあり、単に「ウルトラマンを出しただけ」ではない、本気の内容となっている。邦訳もされており、単行本や円谷プロのWEBサービスである「TSUBURAYA IMAGINATION」で読むこともできるので、興味のある方にはぜひオススメしたい。

 さらにコミックに関していえば、マーベルは8月14日に『ULTRAMAN X AVENGERS #1』を刊行。こちらはタイトル通り、ウルトラマンとアベンジャーズのヒーローたちが共演するクロスオーバー作品だ。前述のマーベル版ウルトラマンの設定をベースにしつつ、スパイダーマンが姿を消した中でアベンジャーズとウルトラマンとの共闘が描かれる模様。すでに発表されている次巻以降のカバーアートを見る限りでは、マーベルユニバース最大級のキャラクターであるギャラクタスの登場も示唆されており、スケールの大きい戦いが描かれそうだ。

■中国で高い人気を誇るウルトラマン

  他にもILMが製作しネットフリックスで配信されている『Ultraman: Rising』など、近年のウルトラマンは英語圏での展開を重視している。海外でのウルトラマン人気といえば、まず思い浮かぶのは中国だ。改革開放路線を受けて80年代に中国へと輸入されたウルトラマンは、娯楽の選択肢が限られていた中国の子供達の間で大人気となり、現在でも世代を超えた人気を得ている。中華圏でのその人気ぶりは日本以上で、キャラクターグッズやおもちゃに関しては中国や台湾のみで販売されているアイテムが多数ある。日本以外でウルトラマンの進出がうまくいった国といえば、まず中国なのだ。

  欧米など英語圏にもウルトラマンのファンは存在するだろうが、売り上げの面でも人数の面でも、おそらく中国に及ぶほどではないだろう。それほどまでに中国でのウルトラマン人気は別格であり、マーベルと提携しネットフリックスCGアニメを配信するのは、他のエリアでのウルトラマンの知名度を中国並みの水準にまで持っていこうとする試みなのかもしれない。

  少子化が進む日本では、子供向けのコンテンツとしてシリーズを重ねてきた長寿タイトルの延命が、喫緊の課題となっている。その対策のひとつが、海外での人気を高めてファンの母数を増やすことだろう。1966年からのファンであればすでに高齢者となり始めているウルトラマンシリーズであれば、貪欲に海外展開を模索するのも納得である。今回の「スパイダーマンとウルトラマンの共演」は、そんな企業努力によって生まれたという側面もあるのかもしれない。

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