『ヒロアカ』連載終了、心が震える名ゼリフ3選 爆豪が本物のヒーローになった瞬間は? 

  堀越耕平による人気マンガ『僕のヒーローアカデミア』が、8月5日発売の『週刊少年ジャンプ』36・37合併号(集英社)でついに完結。約10年にわたる連載を振り返ると、そこには数えきれないほどの名シーンが積み重ねられていた。

 そこで今回は作中でヒーローたちが放ったセリフの中から、“読者の心を震わせた名言”を3つ紹介していきたい。

■轟焦凍を家族の呪縛から救ったのは……

  物語の初期に、数々のドラマを生んだ雄英体育祭。そのトーナメント2回戦にあたる緑谷出久vs轟焦凍の戦いにて、緑谷が放った「君の!力じゃないか!」という言葉は、今振り返っても心に響いてくる。

  轟はプロヒーローのエンデヴァーこと轟炎司の息子だが、その教育方針に強く反発し、父から受け継いだ炎熱の個性に憎しみを抱いていた。代わりに母から継承した氷結の個性だけを使い、No.1ヒーローになることで、父親を否定しようとしていたのだ。

  しかし力を制限しながら戦う轟に対して、緑谷はボロボロになりながらも立ち上がり、全力で戦うように発破をかける。そして、轟の個性はあくまで親のものではなく、“君自身の力”だと訴えるのだった。

  轟はこれをきっかけに「なりたい自分になっていいんだよ」という母の言葉を思い出し、自らの個性を受け入れることを決意。これが轟家のわだかまりが解きほぐされるまでの第一歩となった。

  どれだけ親との確執があったとしても、自分の存在を自分で認めてあげることでしか、先に進むことはできない……。轟家の問題を通じて、深いテーマを映し出している名言だ。

■オールマイトの勇姿!『ヒロアカ』が本当に始まった瞬間

   単行本11巻に収録されているオールマイトvsオール・フォー・ワン(AFO)は、『ヒロアカ』の大きな転機となる戦いだった。

  爆豪勝己がヴィラン連合に連れ去られたことをきっかけに始まった「神野区の悪夢」にて、オールマイトはAFOとの一騎打ちを行うことになる。すでに緑谷にワン・フォー・オールを継承していたオールマイトは、個性の“残り火”で戦っている状態で、これまで隠していたやせた姿も世間にバレてしまう。

  そんな壮絶な戦いの末に勝利をつかみ取ったオールマイトは、カメラに向けて「次は君だ」と告げるのだった。最後まで平和の象徴であり続けたNo.1ヒーローによる世代交代宣言であると同時に、弟子の緑谷に向けたエールでもある名ゼリフ。ここからヒーローの世代交代が始まったという意味で、『ヒロアカ』の物語が本当に始まった瞬間でもあるだろう。

■“本物のヒーロー”へと成長を遂げた爆豪勝己

 『ヒロアカ』においては、さまざまな登場人物たちの因縁がドラマを生み出してきた。そのなかでも印象的なのが、幼馴染みにしてライバルでもある緑谷と爆豪の関係性だ。

  2人は雄英高校に入る前から近しい関係だったが、爆豪は緑谷に対して鬱屈した感情を抱いており、日常的に痛烈な罵倒を浴びせかけていた。入学後もしばらくはその関係を引きずっていて、つねに挑発的な態度をとっていたが、爆豪はヒーローの卵としてさまざまな経験を積むなかで、徐々に成長を遂げていく。そして物語の終盤、その成長の証とも言えるセリフが飛び出した。

  それは第322話「大・爆・殺・神ダイナマイト」でのこと。爆豪は1年A組の面々と協力し、ヒーローとしての呪縛によって“闇堕ち”しかけた緑谷を救うために奮闘。そして爆豪は、「今までごめん」と心からの謝罪を口にする。さらに1人で戦おうとする緑谷に待ったをかけるため、「おまえが拭えねぇもんは俺たちが拭う」と説得するのだった。

  爆豪はここで今までのヒーローらしからぬ行為と正面から向き合い、緑谷への謝罪を果たした。1人で戦うことしか考えていなかった爆豪が、共に戦うことを願ったという意味でも、大きな成長を感じさせる名ゼリフだ。

  もちろん今回紹介したシーン以外にも、10年の連載で生まれた名言はたくさんある。最終回が描かれたこの機会に、あらためてヒーローたちの活躍を振り返ってみてはいかがだろうか。

 

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