『キングダム』ついに登場した李牧の切り札「司馬尚」は何者? “中央”を極端に嫌う実力者に迫る
※本稿は『キングダム』72巻までのネタバレを含みます。ご注意ください。
7月12日から4作目となる実写版映画 『キングダム 大将軍の帰還』が上映され、話題を集めている漫画『キングダム』。数々のキャラクターが武や知を生かして戦場で活躍する、見応えあるストーリーと迫力あるタッチが魅力だ。
最新のコミックス72巻では、過去に名と風貌だけが登場していた謎の多いキャラクター「司馬尚」がついに登場。781話では、一振りで田理弥の重要戦力である蛇輪と数人の騎馬兵を真っ二つにする姿は、読み手に強烈なインパクトを与えたことだろう。
作中では以前から「青歌の司馬尚」と警戒はされていたものの、戦場に姿を見せることはなかった。番吾の戦いで、秦軍に史上最大の被害を出した要因の1つであろう司馬尚について、作中の情報から迫ってみたい。
中央を極端に嫌う実力者
司馬尚は、趙国の東側に位置する青歌城の城主だ。中央を極端に嫌い、数々の要請を病を理由に断り続け、李牧からの三大天の推薦も断るほどの徹底ぶりを見せていた。
そもそも、司馬尚という名があがったのは503話。秦が鄴城攻めを選択し、趙軍の軍略会議がばたついているときに、燕の第一将・オルドが侵攻してきたシーンだ。立て続けに二つの城が落ちたと報告を受け、流石の李牧も焦りの顔を見せたが、オルドの侵攻先が司馬尚のいる「青歌城」だと聞くと、一変して落ち着きを取り戻したのだ。
オルドといえば、秦国の首都・邯鄲の喉元まで迫った合従軍の五将のうちの一人。中華全土をみても、決して容易に攻略できる相手ではないだろう。さらにオルドは2万の軍勢を率いているのに対し、司馬尚の軍は5千という明らかな劣勢だ。
それにも関わらず、李牧は青歌に直接援軍を送らなかったことをみると、司馬尚という将に対して絶大な信頼があったのがとってわかる。
司馬尚とオルドの戦いが簡潔ながら描かれたのは514話。4分の1の軍勢に抑えこまれたオルドは、司馬尚について「眠れる虎」と揶揄し撤退していった。口元のみ描かれた司馬尚は、「青歌へ戻るぞ」という一言のみを残し、読み手にとって謎ばかりが残るキャラクターとなっていた。
燕の国境付近にある城でありながら情報が無かったのは、それほどまでに城から出てこなかったことを意味する。この情報の無さが、現在王翦を苦しめている要因の一つと言えるだろう。
その後、詳細は割愛するが、李牧は身を隠すため青歌に渡った。これをきっかけに、青歌の武将たちが表舞台へ登場していくことになる。
青歌の武将が初めて登場したのは、桓騎が総大将を務め李牧と相対した宜安の戦いだ。青歌の第一将カン・サロ、第二将・楽彰、ジ・アガらの登場により、桓騎軍は李牧にあと一歩届かない結末となった。