サウナブームで増える“迷惑行為” カスハラ・剃毛・酔っ払い……老舗銭湯が閉店決断する事態にも

■利用者の迷惑行為で銭湯が閉店へ

サウナ好きは増える一方でマナー違反が問題に。写真=photolibrary

  1967年に創業した、神奈川県座間市内唯一の銭湯「亀の湯」が、5月30日での閉店を公表し、波紋を広げている。店主はXを更新し、閉店の理由は利用客による迷惑行為と語り、「もう限界です」「営業を続ける意欲がなくなった」と苦しい現状を打ち明けた。具体的には、備品の盗難や破壊、カスタマーハラスメント、さらにはサウナ代を支払わないなどの無断利用もあったという。

 空前のサウナブームが続いており、昭和レトロブームもあって銭湯が注目されている。筆者も銭湯が好きで旅行中によく入浴するのだが、人気のある施設では若者の姿が目に付く。そして、ひと昔前は、サウナに入っているとオッサン臭いなどと言われたものだったが、今やサウナはあらゆる世代や性別を超えて愛される施設になった。しかし、銭湯やサウナによく通うベテランの編集者は、利用者のマナーの問題をこう指摘する。

■ムダ毛を処理して毛が散乱……

 「最近、都内の若者が多く訪れる人気銭湯に行ったのですが、ムダ毛を気にしているのか、男性の浴場内でワキ毛や陰毛を剃っていたんですよ。銭湯やサウナ好きの若い子たちには、アンダーヘアがない方がイケてるなんて考え方があるみたいですよね。でも、洗い場はどこも混んでいた中だから毛は周りに散らばっていて、不快に思う人もいるよね。銭湯をまるで自宅の風呂と勘違いしている人が多いんじゃないかな。カミソリを使うことはマナー違反じゃないだろうから、せめて空いている時とか人目につかないようにするとか考えてほしいよね。経営側は掃除も大変だと思いますし、水面下ではトラブルも起きているんでしょうね」

  銭湯で以前から問題視されているのは、毛染めを行ったり、まったく体を洗わずにいきなり湯船に浸かるなどのケースだが、施設側の注意喚起も無視して行う人は依然として多いようだ。YouTuberのはじめしゃちょーが、サウナでしゃべる若者に苦言を呈したことが何度かあるが、実際にサウナの中で大声で喋るなど、明らかなマナー違反は各地で起きているようである。サウナを愛してやまない60歳のベテランライターはこう話す。

 「サウナが人気なのは、凄くいいことだと思うんですよ。実際、ストレス発散になるし、僕みたいな高齢者ライターにとっては、若い人たちとの会話の糸口になるからね。ただ、サウナに落ち着いて入りたい人にとっては、ブームをちょっと苦々しく見ているのは事実だね。サウナで瞑想したい人もいるし、日頃の疲れをリフレッシュしたい人も多いと思う。どんな施設にも言えることだけれど、周囲への配慮は忘れないでほしいよね」

  筆者は最近出かけたサウナで、酒を飲んで酔っ払ったおじさんがサウナ内で、体調を崩してしまい、文字にするのも憚れるような地獄絵図の現場に遭遇したことがある。酒を飲んでサウナに入るなど言語道断だし、危険極まりない行為だろう。せっかく“ととのう”ことを目的に行ったサウナで、不快な思いをしてしまっては周りの客もたまったものではない。

  なお、はじめしゃちょーは、2023年に自宅にサウナを開設した。当たり前だが、こうしたプライベートサウナであれば、どんなに騒いでも喋っても自由だと思う。ソロや少人数で使用できるプライベート的なサウナも現在都内で増えている。しかし、町の中にある銭湯やサウナは公共空間だ。マナーを守って快適に過ごせるようにしたいものである。

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