『呪術廻戦』宿儺の術式にまつわる謎が判明! なぜ今 “西洋の怪物”だった可能性が浮上した?

宿儺は西洋由来の神話的存在だった?

  その一方で新情報として気になるのは、「竈」(カミノ)という名称だろう。「竈」は一般的な読み方であれば「かまど」だが、「カミノ」はイタリア語で暖炉などを意味する言葉。同じくイタリア語では、「フーガ」は逃げることを指す言葉で、いずれもラテン語に由来をもっている。穿った見方かもしれないが、もしかすると宿儺は西洋的な文脈を背負ったキャラクターなのだろうか。

  宿儺は1000年以上前から日本に存在していた設定であり、『日本書紀』などに記されている鬼神の「両面宿儺」を元ネタとしているため、日本にルーツをもつ存在だと思われてきた。しかし作者・芥見下々によると、宿儺と神話的存在の「両面宿儺」は実は無関係で、見た目や強さが“宿儺っぽい”からそう呼ばれるようになっただけだという。だとすると、西洋的なモチーフが隠されている可能性もゼロではないだろう。

  そもそも宿儺は「堕天」という異名をもつが、これは「堕天使」と言うようにキリスト教的な世界観を背景としており、日本というより西洋の文脈を帯びた言葉だと言える。

  さらに示唆的だったのが、最新話で宿儺が発動した不完全な領域展開「伏魔御廚子」のビジュアルだ。通常時は巨大な口をモチーフとしたフォルムだが、今回は見た目がガラっと変わり、巨大な“目”の化け物になっていた。とくに「伏魔御廚子」が空に制止して虎杖を見下ろしているシーンでは、一つ目の黒い塊のように描かれており、『ゲゲゲの鬼太郎』などで有名な妖怪・バックベアードに似ているように見える。そしてバックベアードといえば、「西洋の妖怪」として日本で生まれた複雑な経緯をもつ妖怪だ……。

  なぜここにきて、西洋的な文脈が浮上してきたのか。宿儺にまつわる謎は、ますます深まるばかりだ。今後、思いもよらない種明かしが待ち受けているかもしれない。

(c)芥見下々/集英社

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