Xで話題「海原雄山という男」『美味しんぼ』史上最もざわついた言動4選

Xで話題「海原雄山という男」

  1983年に『ビッグコミックスピリッツ』(小学館)で連載が開始され、2014年をもって休載となっている。

  そんな『美味しんぼ』だが、アニメの再放送や動画サイトで配信されていることもあり、休載から10年経過した現在も、根強い人気を持つ。

  なかでも話題になっているのが、『美味しんぼ』の公式YouTubeチャンネルとXだ。アニメの名シーンを投稿し、その内容にたくさんの「いいね」やリポストがつけられている。Xで多くの反応があったのが、海原雄山の発言。「海原雄山という男」というハッシュタグとともに、名言の数々がポストされている。そこで今回は反応が多かった発言の内容と経緯を振り返りたい。

 「こんな器で料理が食えるか」

  全焼から再建した料理屋の会合に呼ばれた山岡。店主たっての希望で、雄山と同席することになる。ここで「1番美味しいと思う魚は?」と質問された山岡は「サバ」と答え、雄山に罵倒される。逆上した山岡は「本当にうまいものを知らない」と反論した。

  雄山が「それなら食わせてみろ」と挑発すると、山岡は応戦。葉山で1番美味しい魚の正体である「幻のサバ」を手に入れようと奮闘。結局栗田ゆう子が釣り上げ、雄山に振る舞う。
その後、葉山の料理屋に全焼から店を再建させた料理屋の店主と雄山、東西新聞社の大原社主、谷村部長が参加し、幻のサバを試食。雄山以外が味を絶賛すると、バツが悪くなった雄山は「こんな器で料理が食えるか」と器のケチをつけて店を出ていった。

「女将を呼べ」

  山岡士郎が雄山の息子であることを知った東西新聞社の大原社主は、「究極のメニュー」に雄山を引き入れるため2人の和解を目論む。
大原は料亭に雄山を呼び出し、飯を食わせて懐柔させる作戦に出る。しかしこの料亭は花板が代わって味が落ちており、吸い物を一口すすると「女将を呼べ!」と絶叫。女将が対応すると、満足させるまで吸い物と魚の煮物を作り直させた。その後、和解を目論む谷村部長によって料亭にいた山岡が話を聞いて心を痛め、板前に代わって吸い物を作り、雄山を満足させる。雄山は吸い物の味を絶賛したが、作ったのが山岡と知ると、怒って出ていってしまった。

  初期の雄山を代表する「女将を呼べ」というフレーズ。物語が進むにつれ「実は息子を愛する父親に変貌する」ことを知らない人にとっては衝撃的なシーンかもしれない。

「このあらいを作ったのは誰だ」

  美食倶楽部の板前で、雄山からその力を高く評価されていた岡星良三。中川の取り計らいもあり、気に入られると出世が見込めるという雄山の夕食作りを任された。
良三は緊張感に耐えることができず、店の外で1本タバコを吸う。すると落ち着きを取り戻し、「あらい」を作った。中川や同僚から仕事ぶりを褒められていた良三だが、しばらくすると「ドスドス」と足音を立てて雄山が調理場に登場。「このあらいをつくったのは誰だ(アニメでは刺身)」と絶叫し、良三が「私です」と名乗り出ると「貴様はクビだ」とクビにしてしまった。

  労働形態は不明だが、正規雇用の料理人を「タバコを吸った」という理由でクビにすることは、現代でいう「ブラック企業」と言われても致し方ない。しかし雄山は最終的に良三を許し、美食倶楽部に戻している。「単なる暴君」では、ないといえよう。

「見ろ!手が汚れてしまった!」

  美食倶楽部の料理人でありながら、ハンバーガーショップを始めた宇田。雄山は実力を認めており、考え直すよう説得するが意思は変わらず。結局「味覚音痴のアメリカ人の食べるあの忌まわしいハンバーガーを」「失せろっ 愚か者に興味はない」「二度と私の前に姿をさらすな」と追い出した。

  そんな雄山だったが、実は気にかけており、宇田が作ったハンバーガーショップに足を運び、味を確認。「どうやって食えば良いんだ?私はこんな下卑たものの食い方はわからん」と言いながらも味わい、宇田のハンバーガーを酷評した。

  その後、山岡の協力を得て美味しいハンバーガーを作り上げた宇田。中川が雄山に食べてもらうと味について言及せず「見ろ!! 手が汚れてしまった。2度とこんな物を私の食卓に出すな。アメリカ人好みの浅ましい食べ物だ。宇田の愚か者めが」と罵倒し続けた。
宇田を罵倒した雄山だったが、「こんなものはいらない、もっていけ」と中川にハンバーガーと相性の良い宇田のつけたピクルスを託し、贈っている。雄山のツンデレが爆発した回だった。

  暴君極まりない雄山の行動だったが、その後雄山は葉山の料亭に自身が作った器を贈っている。「単なる暴君」ではなく、必ず後で心優しき気づかいをしているのが、雄山の真の姿である。刺激的な発言ばかりがクローズアップされる雄山だが、その根底には心優しい気持ちが隠れている。それが、「海原雄山という男」なのだ。

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