【漫画】人生の“無駄な時間”をスキップできるアプリ、使い続けると……SNS漫画が描く“タイパを極めた男”の末路

【漫画】タイムパフォーマンスを極めた人の話

ーー本作を創作したきっかけを教えてください。

あらふじぺす(以下、あらふじ):少し不思議な、日常の中で起きる奇妙なことを描くのが好きで、今回は奇妙なアプリを題材として作品を描きました。アプリを選んだ理由は、ほとんどの人がスマートフォンを持ちアプリが欠かせない生活をしている現代で、一番身近に感じてもらえる題材だと思ったからです。

 また作中のあるページを描きたくて始めたので、気合いを入れて描いたそのシーンがどこか気付いてもらえたら嬉しいです!

ーー「…映画のあとにつまんなかった!って2人で言い合う時間も/大事だと思うな」と話す愛希さんの姿、その言葉が届かない大我さんの柔らかな笑顔が印象に残っています。

あらふじ:少し大袈裟ですが……本作の教訓としてそのシーンを描いたので、印象に残ったのなら嬉しいです。

 私は本作の最後、すべてをスキップして病室のベッドで死の間際にいるシーンが印象に残っています。人生最後の瞬間が、顔も知らない他人に囲まれて、あくまでも感動的なシーンとして終わったらゾッとするだろうなと思い描きました。

ーーアプリ使用のトリガーとして“目をつむる”行為が存在していました。

あらふじ:当たり前ですが、目をつむると周囲が見えなくなります。そして、その間に起きていることは予想できても、出来事を確定することはできなくなります。

 この仕組みが目をつむる前と後で時間が進むアプリでは効果的に使えると思い“目をつむる”行為を選びました。

ーー作中では“効率”とともに“正解”という単語もキーワードとして存在していたかと思います。

あらふじ:10年以上前の、祖父のお葬式の話です。祖父の為に集まったたくさんの人を見て、祖母が「祖父は良い人間だった。正しい人生だった」と評価していました。それを聞いて、人生の良し悪しは死後、他人の言葉で決定されることに違和感と納得感がありました。

 愛希の言葉によって効率を求めた主人公・大我の人生は正解だった……と確定されたラストシーンで「人生に効率を求めること」と同時に「大我の人生は正解だったか」についても、読んだ方にも考えてもらえたら良いなあと思っています。

ーーあらふじさんはSNS等に多くの作品を投稿しているかと思います。漫画を描きはじめたきっかけは?

あらふじ:好きなゲーム実況者さんやアニメ、漫画のファンアートイラストを描いていく中で、どうやったら魅力が伝わるかと模索し、漫画という表現を見つけました。物語を創ることは元々好きだったので、見様見真似ですが、一次創作の漫画を制作し始めるまでに時間はかかりませんでした。

 私は器用な方ではないので漫画の基礎的な部分は今も繰り返し勉強している最中です! なので、読者の方からいただいた感想で、自分の描きたかったシーンが意図的に伝わっていると分かると、とても嬉しいです。

 SNSに投稿している理由は、一番はやっぱり、たくさんの人に読んで欲しいからです。最近は描いた作品は読んでもらって初めて完成するなぁと実感しており、読者の方から感想をいただくと、より一層そのように感じます。

ーー今後の目標を教えてください。

あらふじ:今の一番の目標は「漫画が上手く」なることです。今は画力もそうですが、伝えたいことを伝えるために演出や効果的な展開を学んでいる最中です。ストーリーやテーマはストックが出来る程思いつくのですが、読んでもらえる状態にするまでに膨大な時間がかかります(「漫画が上手く」なれば作画までのスピードが上がるのではないかと期待します……)。担当さんがついてくれている作品以外では、一人で悩んで頓挫することも少なくありません。

 今後の活動についてですが、変わらず、これからもSNSでの作品投稿は続けます。水面下で進めている“色々”もあります。私の能力が足りなければ水面下のまま霧散する可能性もある“色々”です……! いつか発表できる日が来るようにがんばりますので、今はSNSで読める作品たちを、ふっと思い出した時だけでも読んでいただけたら嬉しいです。

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