『【推しの子】』今後の展開に影響大? ルビーの“星野アイへの思い”の変遷を考察 

【推しの子】ルビーの“アイへの思い”の変遷

※本稿は『推しの子』最新刊までのネタバレを含みます。原作未読の方はご注意ください。

 原作漫画の「映画編」がついに佳境を迎えている『推しの子』。映画「15年の嘘」の撮影が進み、転生前の天童寺さりな時代から「アイ推し」を公言し、アイに心酔してきた星野ルビーだが、ここにきて演技やアイドル像が大きく変化を遂げている。

 本稿では、星野アイの娘、ルビーのここまでの「アイ推し」の変遷と、映画編でのアイドル像の変化を考察する。

転生後は、唯一の心の支え・アイへのオタク心が爆発

 星野ルビーは、アクアの前世である医師のゴローの患者、天童寺さりなの生まれ変わりだ。4歳で重い病気が見つかり、長期で入院。自分で歩くことさえもままならない彼女を支えたのが、完璧で最強のアイドル・星野アイと医師ゴローの存在だった。特に、アイのライブ映像を観ることが生きがいで、ゴローにアイの人気や凄さを熱弁するシーンは、まさに辛い状況でも明るく振る舞うけなげな少女だった。

 しかし、転生後の赤ちゃん時代にその印象は一変。アクア相手に、アイの凄さを超早口でまくしたてる、スマートフォンを巧みに操ってアイのアンチと壮絶なリプ合戦を繰り広げるなど、強火のオタクぶりを発揮。このシーンでは、ルビーのアイへのあまりの熱量と口の悪さに兄アクアさえドン引きしており、病弱で「アイ推し」を公言していながらも控えめだったさりなが、五体満足の身体を得て天真爛漫なルビーの違いがかなり鮮明に表現されている。

 さらに、ルビーの「推し活」は止まらない。成人男性の記憶が残っており遠慮するアクアを尻目に、アイに赤ん坊の立場を利用して甘え倒し、「憧れのアイドルの娘に転生した」状況を大満喫。B小町のライブで、ベビーカーに乗ったままオタ芸を打つという衝撃シーンも、赤ちゃん期のハイライトだった。

瞳の星が真っ黒に! アイとゴローの死の真相に気づき、復讐心に燃える

 作品内でのルビーの転換期といえば、闇堕ちシーンだ。前提として、ルビーは病死前のさりなとしての記憶を覚えており、医師のゴローに恋心を抱いている。そんな彼女をゴローの死体の場所へ案内したのが、映画編のキーパーソン、ツクヨミだった。

 事あるごとにアクアの前に登場し、意味深な言葉を吐いて去っていく謎の少女ツクヨミ。彼女によって、ゴローが死んだこと、その死の真相にアイを殺した犯人が関わっていることを知らされたルビーは、犯人探しを決意。強い復讐心と、アイドルとしてのぼり詰めることを決めたルビーの瞳には星が黒く光るように。

 その後、映画「15年の嘘」の主役·アイ役をめぐって黒川あかねや不知火フリルと演技合戦をおこなった際には、アイを研究し尽くしている黒川あかねに対し、「私以外の人にママの苦しみは分からない。ママとセンセーの仇を取るのは私だよ」と宣言。かなりの執着ぶりで根負けした黒川に勝利し、アイ役を勝ち取る。この時期の、ルビーの心を支配しているのは、「自分が憧れた完全完璧なアイドル・アイ」を葬った何者かへの怒りと激しい憎しみだ。

 映画編初期までは、アイを絶対視し心酔してきたルビー。しかし、直近の回では元B小町のメンバー・ニノたちと会い役者としても覚醒、ついには撮影でアドリブ演技を披露するほどに。周囲の期待から完全完璧なアイドル像を演じるしかなかったアイの孤独を悟り、同時に「自分は自分のままスターになる」ことを決意する。

 アイのような完全完璧なアイドルではなく、自分らしさを大切にしながらアイドルとしてのしあがることを決意したルビー。このアイドル像の変化が、今後のストーリーにどんな影響を及ぼすのか要注目だ。

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