『葬送のフリーレン』“葬送”の異名は魔族を倒しすぎたからではない? その由来を考察

『葬送のフリーレン』“葬送”の由来を考察

※本稿はアニメでまだ描かれていない原作の内容を含みます。ご注意ください。

 1000年以上生きてきたエルフのフリーレンが、冒険を共にした者の死を機に人間を知る旅を描いた『葬送のフリーレン』。主人公のフリーレンは卓越した魔法使いであり、魔物や魔族との迫力ある戦闘と冷静沈着な言動は長年の経験を物語っている。

 フリーレンのふたつ名は、タイトルにもあるように「葬送」。葬送とは、死者を葬り見送るという意味がある。フリーレンは、長命ゆえ親しい者を見送ることが多く、葬送と呼ばれるようになったのか。それとも魔族を次々と葬り去る姿から名付けられたのか、これまでの物語から紐解いてみたい。

 フリーレンが作中で「葬送」のふたつ名を呼ばれたのは、断頭台のアウラの配下リュグナーの死に際と、黄金郷のマハトに語りかけるソリテールの口からのみ。そもそも、ふたつ名の登場回数が少ないため参考にできる材料は限られているのだが、魔族の口からしか出てきていない状況を考えると、魔族にとっての呼び名である可能性が高い。

 ただし、フリーレンが戦った魔族全てがその名を口にしたわけではなく、クヴァールや七崩賢だったアウラ・マハトの口から葬送の名が出てきたことはない。また、マハトに至っては600年前に戦ったことすら忘れている。そのため七崩賢に満たない下位の魔族に呼ばれてきたふたつ名が、作品のタイトルにまでなるとは考え難い。

 そこで、10巻の94話にてソリテールが結界越しのマハトに対し「葬送のフリーレン」と口にしたセリフを考えたい。「葬送のフリーレンが君の記憶の解析を始めた。君はきっと興味ないだろうけども、彼女は人類の中では極めて優秀な魔法使いよ」というもの。3巻21話で死に際に発したリュグナーとは違い、明確にふたつ名を含めた説明をしていることから、人間の文化や知識を学んでいたソリテールが人間側の知識として、過去にその名を聞いたのではと推察できる。

 だが、過去に遡ったフリーレンの回想では、ヒンメルに誘われるまで500年間も魔族との戦いをしていないし、魔族を蹂躙するほどの戦闘をしているシーンも描かれていないことから、魔族を葬る者という意味での「葬送」ではないように感じる。

 とすると、やはり親しい間柄だった人物を多く見送ってきたことから名付けられたのだろうか。作中でフリーレンが自身と親しかった人物を見送ったのは、ヒンメル・ハイター・フランメの3名。決して見送った回数が多いというわけではなく、長命のエルフは他にも存在するため「葬送」のふたつ名には当てはめにくい。そこで、今回の旅の目的である魂の眠る地(オレオール)が鍵を握っていると考えるのはどうか。

 「葬送」という言葉は、葬儀や埋葬などの儀式をへて、魂をあの世へ成仏させる「野辺送り」と同義とされている。作中でも天国や地獄などに触れていることから、本作の世界にも成仏という概念があるとみていいだろう。

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