90年代の名作『赤ちゃんと僕』“ガチで泣いた”漫画としてXでトレンドに 父親に対する見方の変化も

『赤ちゃんと僕』がXのトレンドに

 Xで拡散中のハッシュタグ「#ガチで泣いた漫画教えて選手権」とともに、名作少女漫画『赤ちゃんと僕』がトレンド入りした。近年の大ヒット作『鬼滅の刃』から『ちびまる子ちゃん』の感動回まで、さまざまな漫画/シーンが取り上げられるなかで、90年代に多くの読者の涙腺を刺激した『赤僕』の強さが際立っている。

 羅川真里茂が手がけた『赤ちゃんと僕』は、1991年から97年まで「花とゆめ」にて連載された少女漫画。小学校5年生で母を亡くした榎木拓也が、まだ幼い弟・実の世話をしながら日々を送るホームコメディ/ヒューマンドラマで、ほっこり優しい回も印象的だが、切実で重たいテーマを描くエピソードも多い。

 拓也は基本的に“出来過ぎ”と言っていい、家族思いの優しい子だ。一方で少年らしい葛藤や不安定さもしっかり描かれており、胸が締めつけられる。ネタバレは控えるが、特に最終回につながるエピソードは、涙なしには読めない内容だ。

 読者がそれぞれに深い思い入れを持つ作品だけに、ポストに添えられたコメントもさまざまだ。「うさぎの話と先生の日記の話と最終話はまだはっきり覚えてる」「お父さんとお母さんの話も好きだし、偶然出会ってしまったヤクザとの話も好き」など、お気に入りのエピソードを語る声もあれば、本作を読んだ流れで、同じく羅川真里茂が手がけた性自認にまつわるシリアスな物語『ニューヨーク・ニューヨーク』にハマったという声も多かった。

 また、「家族」や「生活」が軸になる物語であることから、「子供の自分でさえたびたび泣かされてしんどかったので親となったいまもう再読出来ない気がする」「当時と母親になった今とで読む目線が変わってくる」など、ライフステージに応じて受け取り方が変わるという声も多い。

 「父親の春美が小学生の息子に家事や育児を任せすぎだ」という、当時からあった意見もみられるが、時を経て親の立場になった読者も多く、ひとり親の大変さ、まだ33~34歳という年齢も踏まえて、家族愛があり、職場でも人望のある春美というキャラクターを捉え直している人も少なくない様子。もっとも、ヤングケアラーの問題も広く語られるようになったいま、周囲の大人をより厳しく見るようになった人も多いようだ。

 時代の変化も感じさせながら、普遍性のあるテーマを丁寧に掘り下げ、いまも多くの人を泣かせている『赤ちゃんと僕』。未読の方はこれを機会に手に取ってみてはいかがだろう。

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