【話題の社長本】「にしたんクリニック」「イモトのWiFi」西村誠司 ピンチをチャンスに変えた“発想”
■カッコよさよりもインパクトが重要
西村氏は、こうした業績アップの秘訣を「知名度を最大限に活用したから」と即答している。そのノウハウとして西村氏が掲げるもののうち、印象的なのは「どうインパクトを与えるか」という点だ。西村氏は「カッコよさ」よりも「インパクト」を重視しているという。そうした考えがもっとも顕著に表れたのが、何を隠そう、「イモトのWiFi」や「にしたんクリニック」のテレビCMであろう。
イモトアヤコの顔が大きくプリントされた「イモトのWiFi」の車内広告、郷ひろみと3時のヒロインが出演する「にしたんクリニック」の広告やCM。特に、郷ひろみがキンキラキンのスパンコールの衣装で踊るCMはインパクト抜群であり、一度目にしたら忘れない、見ている人に強烈な印象を残す映像であった。CM一つを見ても、インパクト重視で創り上げることを西村氏が重視してきたことがわかる。
また、知名度を上げるためには一気にアクセルを踏みだすことも重要だと説く。これは、同業他社に先を越されないために必要なことであり、瞬く間に知名度を上げた「にしたんクリニック」のPCR検査事業などは、西村氏のそうした考えがよく表れた仕事といえよう。そして、情報が氾濫している現代だからこそ、中小企業やベンチャー企業はビッグネームを味方につけるべきだと説いている。
こうした西村氏の考えを読み解いてみるとわかるのは、西村氏は奇抜なアイディアマンというより、むしろ王道を行く経営者なのだということだ。知名度を上げ、自社の商品を多く売る。これこそが商売の本流に他ならないからである。コロナ禍のピンチを大きなチャンスに変えることができた西村氏の経営哲学は、混迷の時代を生き抜こうとする経営者にとって、大きなヒントになることは間違いないだろう。