『ONE PIECE』「心折られた……」バーソロミュー・くまだけじゃない“尊厳破壊”の歴史を振り返る

『ONE PIECE』尊厳破壊”の歴史

  現在『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載されている『ONE PIECE』(ワンピース)では、元王下七武海の1人、バーソロミュー・くまの過去編が進行中。あまりに壮絶な過去を背負っていたことが明らかとなり、読者たちに衝撃が走っている。

  しかし実は同作において、こうした描写は珍しいものではない。誇り高い精神を持った男性キャラクターの尊厳が幾度も打ち砕かれ、「尊厳破壊」などと呼ばれてきた。これまでにどんな悲劇が巻き起こってきたのか、その歴史を振り返ってみたい。

  比較的最近描かれた「ワノ国編」では、光月おでんの身に悲劇が描かれたことが記憶に新しい。おでんはかつて“海賊王”ゴール・D・ロジャーの船に乗って冒険していた人物で、故郷のワノ国に帰ってきた際、将軍・オロチが悪政によって民を苦しめていることに激高する。しかしオロチの地盤は周到に固められており、おでんは民の命を人質に取られた結果、城下町での“裸踊り”を命じられてしまう。

  海賊王のクルーだった男が5年間も滑稽な裸踊りを続け、民衆から見下されるような目を向けられる……。まさに尊厳破壊の極致のようなエピソードだった。

  また、「ワノ国編」ではキッド海賊団の戦闘員・キラーもなかなかの扱いを受けている。彼はオロチに人造悪魔の実「SMILE」を食べさせられ、その副作用によって生涯“笑顔”を強制される身体になってしまった。元々キラーは「ファーッファッファ」という変わった笑い方で、常時マスクをかぶるほどにコンプレックスを抱いていたため、この出来事には深い絶望を味わったことだろう。

  さらにその前の「ホールケーキアイランド編」では、麦わらの一味のメンバー・サンジが悲惨な目に遭っていた。ジェルマ王国の王族生まれであるサンジは、ビッグ・マムの娘、シャーロット・プリンとの政略結婚を突きつけられる。当然「オールブルー」という夢のためにも冒険を続けたいはずだが、ルフィたちや海上レストラン「バラティエ」の人々を守るため、この条件を受け入れざるを得ない。

  しかも婚約者として出会ったプリンは、一見やさしい人柄だったものの、実はすべて演技だったことが判明。結婚式の場で自分を殺すつもりだった……ということまで知ってしまい、サンジは大粒の涙を流す。

  そして「ドレスローザ編」においては、もはや1人や2人ではなく、ドレスローザ王国軍隊長・キュロスやハイエナのベラミーなどが精神的に追い詰められていた。こうして直近のエピソードを振り返ってみると、もはや最近の『ONE PIECE』では、1つの章で最低1回は尊厳破壊のノルマがあるように見えるほどだ。

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