手塚治虫の義息、漫画家・桐木憲一が炎上を謝罪 生成AIによる「トレパク」疑惑で

手塚治虫の義息・桐木憲一が謝罪

  漫画家の桐木憲一(本名・手塚憲一)が23日、自身のX(旧Twitter)を更新。XなどSNSに投稿していたイラストに関し、既存のイラストと類似している点を指摘され、謝罪した。桐木は、漫画界の巨匠にして“漫画の神様”手塚治虫の長女・手塚るみ子氏の夫。

  桐木はXで、「Xでの絵の投稿に関し、適切な配慮を怠り、関係者の皆様に不快な思いをおかけしたこと、深くお詫び申し上げます」と謝罪。そして、「この不手際は私の認識不足が原因であり、他の方々には関与がございません。この事態を真摯に受け止め、今後はより慎重に行動して参ります」と綴った。

  この投稿を読む限りでは、いったい絵の投稿で何があり、なぜ不快な思いをさせたのかがよくわからない。ただ、桐木はX上に、『風の谷のナウシカ』や『AKIRA』などのファンアートを投稿していた。これが既存のイラストと構図が瓜二つであり、「AIに生成させたイラストをそのまま載せているだけではないか」という疑惑が指摘されていた。

  もっとも、AIに生成させたイラストをUPさせるだけであれば、賛否はあれども問題はない。ただ、桐木は「#AIイラスト」などのハッシュタグを載せずに、あくまでもファンアートしてUPしていたことが問題視された。桐木はあくまでもXでAIについては言及していないが、疑惑が挙がっていたイラストは削除されている。

  それらのイラストは、既存のイラストとあまりに似ていたことや、桐木が『東京シャッターガール』などの名作を生み出した漫画家であり、かつてNHK大河ドラマ『花燃ゆ』で、大河ドラマ館のアニメーションのキャラクターデザインも務めるなど、著名なクリエイターであったことが波紋を広げることになった

  一方、桐木のポストに、漫画家の玉越博幸が反応。「手塚先生のイラストのファンです。勉強不足でなにがあったかわかりませんが、あまりお気になさいませんように。頑張ってください」とコメントした。

  生成AIは、今やニュースの話題にならない日が少ないほどで、X(旧Twitter)ではAIイラストが連日投稿されて、賛否両論を呼んでいる。手塚治虫の息子の手塚眞が漫画『ブラック・ジャック』の新作を生成AIとクリエイターが一緒になって生み出す「TEZUKA2023」プロジェクトに取り組んでいる。

  ちなみに、桐木は本企画に先立って行われた「TEZUKA2020」プロジェクトにも参加。AIを使って手塚治虫の新作を生み出そうと試みた『ぱいどん』のネーム作成を担当していた。AIについてはある程度の理解がある作家と思われるため、なぜ今回の疑惑のイラスト投稿に至ったのか、真相は不明である。

  手塚眞は8月21日の「日経クロステック」のインタビューで、生成AIの活用に当たって人々の「モラル」を問うていた。このわずか2日後のタイミングで、義理の弟といえ、桐木が騒動を謝罪してしまった。AIの利用、特にイラストなどの創作への利用は始まったばかりだ。だからこそ、使い手のモラルが必要であると実感させられる。

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