『恐之本』『僕が死ぬだけの百物語』『長い夢』……夏休みに読んでヒンヤリしたいホラー漫画3選

 夏といえばホラー。特に今年の夏は猛暑続きだからこそ、とんでもなく背筋がゾッとするような最強、いや最恐ホラーで涼みたいところ。そこで今回は、マンガライター・ちゃんめいが厳選した今の季節におすすめのホラー漫画3作品を紹介していく。

『恐之本』高港基資

 一体どうしたらこんなにも目を背けたくなるような、しばらく凝視したら何かが起きそうなほどに禍々しい......そんなこの世のモノではない“何か”の姿を描けるのだろうかと。高港基資先生の絵を見ていると、恐怖心を覚えると同時にもはや感嘆してしまう。

 恐怖心が刺激されるポイントは人さまざまだと思うが、特にビジュアルがトリガーとなっている方にはぜひ、高港基資先生の作品をおすすめしたい。数ある作品の中でも『恐之本』シリーズはとりわけ理不尽な怪異、恐怖が私たちを襲う。普通に生活していただけなのに......いわば通り魔的にこの世のモノではない“何か”に狙われ、半ば諦めとともに受け入れるしかない圧倒的な絶望を描く。

 一度見たら最後。脳裏に焼き付いて消えない、高港基資先生の手腕が光る“何か”の姿。そして、もしも自分の身にも同じようなことが起きたら......と染み付いて離れない不安。ぜひ一度体験してみてほしい。

『僕が死ぬだけの百物語』的野アンジ

 怪談を100話語り終えると本物の怪異が現れる.......。そんな日本の伝統的な座談会である百物語形式で描かれるホラーオムニバス『僕が死ぬだけの百物語』。

 語り部は小学生5年生の少年・ユウマくん。彼は来る日も来る日も、部屋の学習机の上に置いてある何かに向けて怪談を語り続ける。その視線がちょうど私たち読者に向かっているため、こちらに向かって語りかけているようにもとれる。そのせいか、まるで強制的に百物語に参加させられたような、1話からなんとも言えない不穏さが漂う。

 語られる内容は怨霊などの霊障の類に限らず、人間の狂気性を感じるもの、または近未来を予感させる新種の生物など、怪異の種類は多岐に渡る。本編における“怖い”のバリエーションの豊かさもさることながら、1話ごとに加速するユウマくんの謎、そして背後から近づく新たな恐怖........本編と語り部という二段階で襲いかかってくる恐怖をぜひ堪能してほしい。

 そして、これから読まれる方におすすめしたいのは、ぜひ「サンデーうぇぶり」のアプリで読むこと。第十七夜目に到達した時、スマホで読んでいるからこそ体験できる恐怖があなたを待ち受ける。

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