【推しの子】1stイラスト集『Glare×Sparkle』は「ファンブック」に近い内容? 作品への理解が深まる見どころを解説
6月末に最終回を迎えたアニメ『【推しの子】』。放送終了後には、続編となる2期の制作が発表されたが、明確な放送時期などは明かされていないため“推しの子ロス”に悩まされている人も多いのではないだろうか。そんななか、原作マンガの最新刊となる12巻とともに、初のイラスト集『Glare×Sparkle』が発売された。
『Glare×Sparkle』は、2023年5月末までに公開されたカラーカットや単行本の帯裏に掲載された1コママンガ、作画を担当する横槍メンゴ氏がSNSに掲載したイラストなどを含む計130点以上を収録。横槍氏によるカラーイラスト振り返りコメントに、キャラクターサインやデザイン、原作第1話のネーム、2022年に発売された『ヤングジャンプヒロイン2』に掲載されたマンガなども収められている。
新規の描き下ろしイラストがたっぷり楽しめるわけではなく、原作の連載から横槍メンゴ氏のSNSに至るまで、『【推しの子】』という作品を熱心に追いかけてきたファンからすると、「イラスト集」というより「ファンブック」に近い内容だという声もある。一方で、アニメで本作にハマり、第2期に向けてさらに深掘りしたいという人には打ってつけの1冊と言えるだろう。
現行の人気漫画のイラスト集といえば、尾田栄一郎氏による『ONE PIECE』の「COLORWALK」シリーズが有名だ。今年の4月に発売された最新の『COLORWALK 10 DRAGON』には、『名探偵コナン』の作者・青山剛昌氏と尾田氏による対談のフルバージョンが掲載されていたが、原作ストーリーを追っている人にはたまらない内容であった。ネタバレは避けるが、ストーリーの本筋に触れるトークが掲載されていたからだ。
また、連載誌上ではモノクロで描かれていた絵がカラーで表現されることで、新たな事実が判明することもある。作者の尾田氏がなぜそのキャラクターデザインにしたのかについての理由を述べる箇所もあり、「イラスト集」と銘打ってはいるが、実は設定資料集としての価値も高いというわけだ。
『Glare×Sparkle』も作品の背景を補完する設定資料集という面では、なかなか充実している。例えば初期のキャラクターデザインの設定画が掲載されており、原作では明らかになっていないキャラクターの年齢や、ビジュアルとして印象に残る「目の星」についてなど、『【推しの子】』をよく読んでいる人であれば、気になるだろう部分について言及されている。作者解説付きの第一話ネーム、赤坂アカ(原作)×横槍メンゴ(作画)対談など、目で楽しむ以上に作品を噛み砕き、理解を深めたい人にはお勧めできる。
物語がクライマックスを迎えつつある最新12巻とともに、『Glare×Sparkle』で原点や設定を振り返れば、『【推しの子】』という作品の解像度は大きく上がるだろう。ロスに悩んでいる人は、手に取ってみよう。