有馬かな、黒川あかね、MEMちょ……【推しの子】を彩るヒロインたち 過酷な業界で自立を目指す彼女たちの物語を読み解く

【推しの子】ヒロインたちの自立を考える

ルビーの自立を阻むのは

 はじめて少年誌でラブコメ漫画を読んだとき、メインヒロイン、サブヒロインという言葉に違和感があった。私が読んできた少女漫画のヒロインはメインとなる女性だけで、あとは「登場人物」だったからだ。

 しかし少年誌や青年誌では、物語によく登場する女性たちを「ヒロイン」と呼ぶ。もちろん悪いことではない。多数のヒロインそれぞれが個性を持ち、物語を大きく動かすことをも意味するからだ。

 たとえばゼロ年代、「週刊少年ジャンプ」で連載されていた『いちご100%』(河下水希/集英社)ではメインヒロイン交代劇があった。ラブコメなので『【推しの子】』と同じようにとらえることはできないが、読者の反響やキャラの魅力が結末を変えたのである。私は少年漫画、青年漫画における多数のヒロインの存在を肯定したい。

 そして本作のメインヒロインは、星野ルビーだ。最後にルビーは自立した存在なのか考えたい。彼女は前世の記憶があり、なおかつ母であり自らの推しであったアイを失った心の傷が残っている。また前世は病気で外に出ることも難しく、若くして亡くなった。彼女はアイ、そして「アイドル」に憧れていて、それが彼女の自我を形成している。

 いつかルビーの中に「アイドルではない自分」が生まれるかもしれない。その自分を肯定できた時ようやく、彼女は自分の人生をつかみとることができるだろう。

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