【推しの子】斉藤ミヤコは作中屈指の聖人? 亡き母親に代わってアクアとルビーを育てあげた“有能な苦労人”
※本稿には『【推しの子】』のネタバレが含まれます。アニメ8話以降、原作未読の方はご注意ください。
『週刊ヤングジャンプ』で連載中で、アニメ版も世界中で好評を博している『【推しの子】』。芸能界を舞台にさまざまな裏事情が描かれているため、作中にはさまざまな思惑を持った怪しい大人たちが登場する。そんな大人たちの中で、作中屈指の聖人とファンの間で囁かれているキャラクターが存在しているのだ。
それが、主人公のアクアとルビーを亡き母親に代わって育てあげた「斉藤ミヤコ」である。連載初期の彼女は、「苺プロダクション」の社長である斉藤壱護の夫人として登場。幼児だったアクアとルビーを育てながらアイドル活動をするアイに代わって、仕事の間だけ子供たちの面倒を見るという役割であった。
ただ、後に美少年と仕事したいがために打算的に結婚したことが明かされる。挙句の果てには、ベビーシッターが嫌になり、アイに隠し子がいることを雑誌に売りつけようとしたり、そのお金を使ってホストクラブで豪遊しようとしたりと画策するわけだが、アクアとルビーの機転のおかげで計画はすんでのところで阻止される。とても聖人と言われるような描き方はされていなかった。
しかし、ここからミヤコの人物評価は一気に逆転することになる。アイの死後、身寄りがないアクアとルビーを引き取って育てた上、失踪した社長に代わって事業を引き継ぐことに。作中で本当の娘のように育ててきたと言及している通り、アイドルになるためオーディションの落選を繰り返していたルビーのため、十数年ぶりにアイドル事業を立ち上げたり、あかねの自殺を防いだことで警察のお世話になったアクアに母親らしい言葉を投げかけたりと、連載初期からは考えられないほどの聖人ぶりを見せていく。
仕事面では、稼ぎ頭であったアイドル事業からネットタレントのマネジメントへと方向転換。年収1億円のユーチューバー・ぴえヨンなどのタレントを抱えており、自宅の門構えから見ても、お金には不自由しないほどには稼いでいることが窺える。さらには、MEMちょの年齢詐称問題を一発で看破した慧眼ぶりや、新規事業の開拓を地道に進めている姿などからも優秀な描写が多い。
そして幼児期のアクアとルビーに出会ったミヤコが20代もしくは30代と仮定するならば、そこから10数年にわたって仕事と育児に追われていたということになる。ふたりのために自分の人生を捧げ、女手ひとつで子供ふたりを育てた上に、キャリアウーマンとしてバリバリ仕事をこなしていることから、有能であり聖人として扱われるのも納得がいく話なのだ。
作中でミヤコは、芸能事業に関しては仕方なく引き継いだと話す場面がある。そのためひな壇でしか出演させることができず、コネや経験不足がないことから舐められると嘆くのだ。なんでも出来るように見えるが、実のところ今でも苦労する部分は多いのだろう。『【推しの子】』本編では描かれていない、子育ての様子や、仕事をどうやって再び軌道に乗せていったのかが気になるところだ。願わくはスピンオフ作品などでそういった姿が描かれるのかにも期待したい。