アオアシ、BLUE GIANT、トリリオンゲームが一挙に読める漫画サイト「ビッコミ」誕生ーーデジタル化で進む“漫画雑誌の集約”

デジタル化で進む“漫画雑誌の集約”

 小学館青年漫画誌のサイト「ビッコミ」が公開された。「ビッグコミック」「ビッグコミックオリジナル」「ビッグコミックスペリオール」「週刊ビッグコミックスピリッツ」「月刊!スピリッツ」の作品が掲載されるサイトで、現行の人気作が各誌の発売と同時に購読できるほか、完結作やバックナンバーも充実しており、漫画好きにとってうれしい内容だ。

 連載で追いかけたい作品があって掲載誌を購入するが、実際に読むのは3~4作品……という漫画好きは珍しくないだろう。その点「ビッコミ」なら、例えば『アオアシ』(週刊ビッグコミックスピリッツ)、『BLUE GIANT』シリーズ(ビッグコミック)、『重版出来!』(月刊!スピリッツ)、『トリリオンゲーム』(ビッグコミックスペリオール)というように、複数誌から自分好みのラインナップをお気に入りに登録し、追いかけることができる。今後はオリジナル作品の展開にも期待がかかるところだ。

 雑誌で漫画を読む時代から、アプリやウェブサイトで読む時代へ。良質な作品を生み出すシステムとしての「雑誌/編集部」の力はいまも健在だが、読者が“雑誌”ではなく“読みたい作品”にダイレクトにアクセスすることはかなり一般的になってきた。LINEマンガやブックライブのような大手漫画配信プラットフォームには、出版社/掲載誌というよりジャンル別に作品が並び、多くのアプリやサイトで見られる「一定時間待てば単話無料」というサービスを活用し、思い思いの作品を連載的に楽しんでいるユーザーも多い状況だ。

 そのなかで、掲載作品を小学館の青年漫画誌に限定した「ビッコミ」に魅力を感じる読者もいるだろう。雑誌単体のサイトやアプリと比較すれば潜在的なユーザー層は幅広く、大手漫画配信プラットフォームと比較すればセグメンテーションが利いた雑誌的なアプローチになっており、ファンを作りやすい内容だと言える。

 他社にも同様の取り組みはあり、講談社が運営する漫画アプリ&配信サイト「コミックDAYS」でも、「ヤングマガジン」「モーニング」「アフタヌーン」「イブニング」「Kiss」「BE・LOVE」という青年(女性)漫画誌の定期購読のほか、単行本未収録の雑誌掲載話が読める「雑誌バラ読み」に対応してきた。

 全国出版協会・出版科学研究所によれば、日本における2022年の漫画の推定販売金額は、全体で前年比0.2%増の6770億円。そのうち電子コミックの売り上げは8.9%増の4479億円で、紙の単行本は16%減の1754億円と、デジタルで漫画を楽しむ傾向が顕著に表れている。そのなかで、各社はさらに漫画配信アプリ・サイトに注力していくことが予想されるが、今後は想定ユーザー層をどこまで広く取り、掲載作品をどこまで集約して、そのパッケージをどうブランディングしていくか、ということがポイントになっていくかもしれない。

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