『ぼっち・ざ・ろっく!』と『チェンソーマン』平成・令和の音楽対決? 世代を分けた「楽曲」へのこだわり
平成世代の『ぼっち・ざ・ろっく!』、令和世代の『チェンソーマン』
『ぼっち・ざ・ろっく!』のブームを観察すると、近年のアニメとして異質な動きがあったように感じられる。関連CDなどのパッケージメディアが飛ぶように売れていたのだ。
1月4日に公開されたBillboard JAPAN週間アルバム・セールス・チャート「Top Albums Sales」によると、結束バンド名義でリリースされたフルアルバムは、初週7万3000枚以上を売り上げて首位を獲得していた。
また、DVDやBlu-rayなどの売上が驚異的な数字を叩き出したことも示唆的だ。現在はひと昔前と比べてパッケージメディアが売れない時代と言われているが、邦楽ロックのCDを買っていた世代がファンとなったことで、異例のムーブメントを生じさせたのかもしれない。
他方で『チェンソーマン』はDVDやBlu-rayの売上こそ目立たなかったものの、TikTokのユーザー層が熱狂的にハマった作品だった。
作品名をハッシュタグで検索した際の視聴回数を見てみると、「#チェンソーマン」で2.1億、「#chainsawman」では22.6億。これは『ぼっち・ざ・ろっく!』はもちろん、他の人気アニメと比べても群を抜いている数字だ。
また楽曲ごとのハッシュタグで調べてみても、「#kickback」の886万視聴など、いずれも大ヒットばかり。とくに顕著なムーブメントを呼んだのは、第7話のエンディングに使用されたanoの「ちゅ、多様性。」だった。
同楽曲はTikTokで再生回数1億回を達成し、“ゲロデューダンス”動画のブームを呼ぶことに。ちなみに音楽配信サービス「AWA(アワ)」の“12月にTikTokで話題を集めたプレイリスト”にも、数あるうちの1曲として同楽曲が選ばれていた。
両作品の売れ方を見ると、いわば平成世代の『ぼっち・ざ・ろっく!』、令和世代の『チェンソーマン』とでも表現したくなる。
ただ、どちらにしても音楽の力によって、アニメに興味がない層を取り込むことになったのは間違いないだろう。今後、続編が制作された際には、どんな現象を巻き起こしてくれるのか楽しみだ。