【漫画】もしも将棋の駒たちが合コンをしたら? ユニークな擬人化漫画が話題

ーー本作はTwitterで大きな反響を呼んでいます。今回の反響の感想を教えてください。

杉野アキユキ(以下、杉野):本作に登場する駒は女性という設定ですが、自分は男性なので女性の方が作品を読んで嫌な気持ちにならないかとか、男性から見たテンプレートな女性像になっていないかといった点に不安を感じていました。しかし大きな反響をいただくことができ率直にうれしかったです。

ーー本作を創作したきっかけを教えてください。

杉野:この駒ってこういう性格しているよなとか、この駒はこんなこと言いそうだなど、将棋を好きな人の多くは駒ごとの個性を感じていると思っています。将棋好きの人が抱く駒の個性はある程度共通していると思いますが、駒の個性のイメージはすごくぼんやりとしていると思うのです。例えば桂馬ってチャラそうなやつだなとか、香車って真っすぐなやつだなとか……。

 将棋好きの人の多くが抱く駒の個性をみんなが共感する性格に落とし込めたら、多くの人に駒の個性をわかってもらえると思い、駒同士が合コンを行うというシチュエーションの漫画を描きました。

ーー女性として駒たちが会話する本作を描くなかで意識したことは?

杉野:なるべく男性や女性といった性別がなくてもお話がわかるように描きました。男性だから、女性だからこう言うだろうではなく、キャラクター全員が男性になっても、女性になっても通じるようなお話にすることを意識していましたね。

 また見た目が駒であるため、人間と異なり表情や髪型の変化を用いてキャラクターを描き分けることができません。そのため人間のキャラクターとして描くとしたらこんなビジュアルの人になるだろうなといったイメージをしながら各駒を描き分けました。

ーー本作の続きとして男性側の視点となるお話も創作予定だと伺いました。

杉野:本作がフリになるような続きのお話を描きたいと思っています。あの会話をしていた裏で、こんな会話をしていたら……。女性側の駒を描いた本作を読んだ方なら面白さが深まるような、男性側のお話を描くことができればと思います。

ーー杉野さんは本作のような作品をSNSに投稿しつつ、商業作家としても活動されています。漫画家として活動するまでの経緯を教えてください。

杉野:小学校で自分の絵を褒められたことが嬉しくて、ぼんやりと漫画家になりたいと思っていました。ただ高校生のときに『バクマン。』を読み自分でも漫画を描こうと思いました。それから漫画賞に作品を応募したりしながら創作を続けていたのですが音沙汰なく、建築会社に就職しました。

 3年間会社に勤めたあと本気で漫画家になりたいと思い、漫画家志望者の方が住むシェアハウスに入居しました。そのあとに漫画賞に選ばれ、商業誌でデビューして現在に至ります。

ーー会社に勤める日々を過ごすなか、漫画家を目指そうと思ったきっかけは?

杉野:会社に勤めるなかで自分は会社員に向いていない性格なんだと思い、毎日なんのために生きているのかと考えてしまうほど、つらさを感じながら日々を過ごしていました。そんななか会社勤めのストレスを発散するために、帰宅してから午前2時ごろまで漫画を描いていましたね。

 会社勤めの生活から抜け出したいと思っていたときにTV番組で漫画家を目指す人が集うシェアハウスの存在を知りました。放送の翌日にシェアハウスの入居に応募し、会社に辞表を出しました。

ーー漫画を描き続けるためのモチベーションは?

杉野:ひとつは漫画を描くことが好きという気持ちです。ただ、それと同じくらい人を喜ばせたいという思いがあると思います。おそらく人を喜ばせることができるのならどんな仕事でもよくて、自分にとって人を喜ばせるための方法として漫画が合っていました。

 Twitterに投稿した漫画に反響をいただいたり、商業誌で連載する作品にお金を払い買ってもらえることは人に喜んでもらっている証拠だと思うので、漫画を描き続けられている原動力になっています。

ーー今後の活動について教えてください。

杉野:連載や書籍化など、現在いろいろと漫画に関するお話が進んでいるので、報告できるタイミングになりましたらTwitterでお知らせできればと思います。引き続き応援いただけるとうれしいです。

 

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