クソリプ主に電凸した結果は? アンチと会話してわかった、SNSコミュニケーションの難点
不躾な質問にも注意が必要だ。SNSで有名人に変な質問を投げかけても、大抵はスルーされて終わる。ところが直接会話をしたのなら、当然返事はくる。すると好奇心が増大していつの間にか一方的な尋問となり、相手を傷つけてしまうなんて危険も出てくる。その実例となる、学内で性暴力を受けたことへの抗議行動で有名となったエマ・サルコウィッツと、彼女の身に起きた出来事を信じきれずに詮索するような質問を繰り返すクソリプ主の男性の噛み合わない会話。本書でその再現の一部を読むだけでも、エマの理解されない苦しみが痛いほど伝わってくる。
こうした場面を目の当たりにしてきたマロンが提案する、アンチでも「ご近所さん」だと思って節度を持って接しようというデジタル空間でのマナーは、一見すると古臭いものにも感じられる。だがその根底にある、アンチを「ゴミ」と断定するのではなく、善に転化し得る「再生可能資源」とみなす論理はSDGs的で実は今っぽい。SNSでしくじった時に「自分は再生可能資源」と念じたら、自暴自棄になって誰かにクソリプを飛ばしたりせずに済む、良いおまじないにもなりそうだ。