『RECORD』『音盤紀行』『緑の歌』……色褪せないレコードの魅力を伝える漫画3選

楽曲のサブスクリプションサービスが普及しつつも、未だ根強い支持を得るレコードディスク。その証拠として、現代においてもレコードの登場する漫画作品は多く存在している。
レコードをはじめとするアナログな媒体の価値や魅力は何なのだろうか。本稿ではレコードが描かれる漫画作品の一部を取り上げ、前述した問いについて考察したい。
『RECORD』

作品の舞台となる音成町ではエレベーターに閉じ込められたり、人の右手がなくなったりなど、不可解な現象が多発していた。町の異変を解決するため、中古レコード屋を営む主人公・PUNKは不思議な力が込められたレコードディスクを集めていく。
物語のカギとなるレコードディスクや、音成町で起こる「針飛び」という現象など、作中ではレコードがモチーフとされるキーワードが多く登場する。レコードのジャケットを彷彿とさせる各エピソードの扉絵、レコード盤特有の凹凸が刻まれている本体カバーなど、物語や装丁からもレコードの存在を感じることができる。
そんな本作に登場するレコード好きの少女は「昔の人は残したい記憶とか思いを強力なものにしたくて…こんな機械を作ったのかもしれないね…」と話す。この台詞は音楽をレコードに記録し始めた当時の人々の思いと重なる部分があるのかもしれない。
『音盤紀行』

そんな本作の第1巻には5本の短編作品が収録されており、オムニバス形式で物語が進行していく。スマートフォンの普及した時代の日本でレコード屋を営む女性のエピソードや、船でレコードを運搬する日本から離れた異国の話など、レコードを共通項としつつも時代や舞台の様々な物語が展開し、ときに別の物語が国や時間を超えてつながりを見せる。
レコードの保存状態から所有していた人物の姿を推測したり、レコードを手に入れる・届けるために奮闘したりなど、本作のエピソードはレコードという形のあるものだからこそ生まれた物語ばかりだ。CDやMDといった媒体も含め、多くの人に愛されてきた音楽が形のある物体として存在していることこそ、現代までレコードの価値や魅力が受け継がれてきた背景として存在するのであろう。