『バクマン。』『ブルーピリオド』から『響』まで 創作に青春をささげる中高生が描かれる漫画3選

『響~小説家になる方法~』

 「ビッグコミックスペリオール」(小学館)にて2014年から2019年まで連載され、「マンガ大賞2017」大賞に選ばれた『響~小説家になる方法~』。2018年には実写映画化を果たしている。

 文芸雑誌『木蓮』の編集部に届いたのは、差出人の住所や電話番号が書かれていない封筒とひとつの作品。著者は高校生になったばかりの少女・鮎喰響であった。響の作品が編集者・花井ふみの目に留まり、響と彼女の小説が文芸だけでなく世界を変えることとなる。純文学やライトノベルといった創作物にまつわる物語が展開される作品だ。

 出版不況がささやかれる時代を舞台とする本作において、世界に影響を与えるのは響の作品だけではない。もちろん、響の書いた作品は作中に登場する多くの人物に感動を与えることとなるのだが、高校の先輩や名だたる小説家、ときにテレビ局のプロデューサーと対峙し、自身の創作に対する思いを臆することなく真正面からぶつけることで登場人物の感情を動かす。ゆえに響は作中の世界を変えることとなる。

 ときに創作物は受け手に大きな感動を与え、その人の価値観にも影響を与えることがある。作品だけにとどまらず自身の行動で人の感情を動かす響の姿は、創作することの本質を映しているようにも感じ取れる。登場人物と同様に、響によって感情が動かされた読者は多いはずだ。

 本稿で挙げた作品のほかに『チェンソーマン』などで知られる藤本タツキ氏の『ルックバック』や『さよなら絵梨』、アニメ・実写化を果たした『映像研には手を出すな!』なども挙げられる。夏休みを迎える中高生や大学生、この夏に創作をしようと思っている人は、これらの作品から夏の暑さに負けないほどの熱量を得られるだろう。 

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