つげ義春がフランスに降臨!? 『つげ義春 名作原画とフランス紀行』刊行へ

つげ義春がフランスに降臨!?

 つげ義春といえば、今年、日本芸術院に新設されたマンガ部門の新会員に選出されたことで話題となった漫画界におけるレジェンドといえよう。近年は各国語版の作品集が次々に刊行され、海外での評価も高まっている。

 その象徴が、2020年のアングレーム国際漫画祭での受賞。人前に出ることを嫌うつげが、なんとフランスに飛び、多くの人々が見守る授賞式の壇上で、特別栄誉賞のトロフィーを受け取ったのは大ニュースである。

 本書『つげ義春 名作原画とフランス紀行』(6月30日発売 新潮社刊)は、その初海外旅行の様子を、旅立ちから帰国まで完全密着リポートで伝えた一冊。授賞式で手を振る姿をはじめ、現地でのポートレートを多数掲載。同行した息子・正助さんの談話や、帰国後のつげのインタビューなど貴重なテキストも掲載している。

 また、国際漫画祭の前年、フランスのフリーペーパー「ZOOM JAPON」のつげ義春特集に掲載されたインタビューを本邦初訳。海外メディア初の本人取材であり、仏語版・英語版の全集刊行を機に、つげ作品への注目度が上がっていることがよく分かる。

 さらに、本書のもう一つの目玉は、名作を原画の形で読めること。アングレームでも、つげの原画展が開催され、老若男女でにぎわった。本書では、1966~70年に「ガロ」に発表された作品群のうち、「李さん一家」「海辺の叙景」「もっきり屋の少女」など7作の原画を、初めて全頁掲載している。

  カバーはパリのポン・ヌフで撮影されたポートレート。初版のみ、つげの自筆メッセージ入りの帯が付く。

■目次
つげ義春、フランスを行く
仏誌「ZOOM JAPON」インタヴュー
「目立ちたくないんです」
パリ、アングレーム同行記
浅川満寛
フランスでの原画展と父の作品について
つげ正助
つげ義春、帰国後に語る

原画で読む七つの名作 

ほんやら洞のべんさん
長八の宿
もっきり屋の少女
李さん一家
やなぎ屋主人
海辺の叙景

■内容紹介
国際漫画祭に招かれて82歳の初海外、その全旅程に密着。さらに「海辺の叙景」など7作の原画を全頁掲載。新たな「つげ義春」を発見!

■著者紹介
つげ義春(つげ・よしはる)
マンガ家。1937年、東京都生れ。小学校卒業後、メッキ工場などで働き、1954年にマンガ家デビュー。60年代後半から70年にかけて「月刊漫画ガロ」に発表した諸作は、マンガ史の画期をなす。87年以降、新作は発表していないが、2020年にアングレーム国際漫画祭で特別栄誉賞を受賞するなど、その作品群は海外でも評価が高い。『つげ義春 夢と旅の世界』ほか一連の作品により、2017年度日本漫画家協会賞大賞を受賞。2022年、日本芸術院に新設されたマンガ部門で同院会員となる。

つげ正助(つげ・しょうすけ)
1975年、東京都生れ。つげ義春・藤原マキ夫妻の一人息子。2020年にアングレームで開催された原画展「つげ義春 いて、いない」のために尽力するなど、近年は父のマネージャー的役割をつとめる。

浅川満寛(あさかわ・みつひろ)
1965年、神奈川県生れ。1992年より「月刊漫画ガロ」「まんだらけ」「アックス」の編集者として、つげ義春・辰巳ヨシヒロ・平田弘史らを担当。現在はインドのマンガ誌「VÉRITÉ」のエディトリアル・アドバイザーを務め、海外に劇画を広める活動も行なっている。

■書籍データ
【タイトル】つげ義春 名作原画とフランス紀行
【著者名】つげ義春 つげ正助 浅川満寛
【発売日】6月30日
【造本】192頁、B5変型、ソフトカバー
【価格】2750円(税込)
【ISBN】602302-6
【URL】https://www.shinchosha.co.jp/book/602302/

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