発売から1ヶ月経たず重版! レコードの最深部 へと誘う『SPレコード入門』
現在活況を呈しているアナログレコード市場。週末ともなるとレコードを求めて老若男女がレコード店へと足を運んでいたり、オークションでは中古レコードが多数出品され、様々なジャンルの作品が取引されている。中にはオリジナル盤や希少なモノラル音源のレコードが数万円ほどの高値で取引されるケースもあるほど。
また、レコードショップの祭典と言われるレコードストアデイ(RSD)というイベントは、毎年世界中で開催されており、レア盤の再発や初レコード化となるアイテムがリリースされるなど、レコードファンの裾野を広げるイベントも盛況だ。
そんな中、近年注目を集めているのが、SPレコードである。レコードは、主にSPレコード、LPレコード、EPレコードの種類がある。SPレコードは、一九六〇年代初頭まで製造されていた最も古い時代のフォーマットのことであり、蓄音機で聴かれていたレコードといえばわかるだろうか。
特徴としては、SP専用のカートリッジ(レコード針)が必要であり、78回転で再生されること。レコード盤が割れやすいことから「割れるレコード」「瓦レコード」といった言い方もされていたという。LPレコードやSPレコードよりも趣味性が高く、全容が可視化されていないのが現状であった。
本書ではそんなSPレコードコレクターの悩みを解決するべく「SPレコードの扱い方・情報の読み方」を、初心者でも分かりやすく解説されているので、SPレコードの入門書として最良の内容。それだけではなく、博物館などレコード所蔵館の現場でも実用的に使えるマニュアルを意識して編集されたことも人気となり、発売ですぐ重版となった。じわじわと人気の高まっているSPレコードの世界。本書を片手にじっくりとSPレコードの魅力を体感したい。
書籍情報
『SPレコード入門』
著者:毛利眞人
発行:スタイルノート
発売日:2022年5月16日
定価:2640円(税込)
著者プロフィール
毛利眞人(もうりまさと)
1972 年生まれ。音楽評論家・レコード史家。
著作に『貴志康一 永遠の青年音楽家』(国書刊行会 2006)、『ニッポン・スウィングタイム』(講談社 2010)、『沙漠に日が落ちて 二村定一伝』(講談社 2012)、『ニッポン エロ・グロ・ナンセンス 昭和モダン歌謡の光と影』(講談社 2016)、共著に『モダン心斎橋コレクション』(国書刊行会 2005)、『大大阪イメージ』(創元社 2007)、『浅草オペラ 舞台芸術と娯楽の近代』(森話社 2017)等がある。
2019年10月、ボン大学に於いてSPレコードの分類活用に関するワークショップと講演を行なう。2022年4月現在、ボン大学・片岡プロジェクト及び早稲田大学演劇博物館の招聘研究員。ビクター・エンタテインメントやインディーズレーベル「ぐらもくらぶ」でSP 盤復刻CD の音源提供・監修を手がけるほか、テレビ番組のリサーチャー、蓄音機を用いたコンサート・講座を行なっている。