【漫画】父親のいない女子高生の初恋、思いも寄らない結末に……Twitterで発表された漫画に反響続々
ーー恋心の正体を知ることの残酷な一面を感じた作品でした。創作のきっかけを教えてください。
駒魔子(以下、駒):血はつながっているのに離れて暮らす兄弟が偶然出会ったとき、自分たちが兄弟であることに気づくのか、どんな感情を抱くのかと考えていました。そんななか「ジェネティックセクシャルアトラクション」という現象を知ることがあったのです
これは別々の家庭で幼少期を過ごした血のつながるふたりが大人になって出会ったとき、類似点の多さから互いに異性として惹かれてしまうというものらしいです。私が知り得た現象とこれまで自分が考えていたものと重なり、本作の物語が生まれました。
ーー別々の家庭で過ごす血のつながったカズキさんとマコトさんを描くなかで意識したことは?
駒:主人公のカズキが恋だと信じていたものが恋じゃなかった、ただ類似点に惹かれていただけだということを知った絶望感を描きたいと思っていました。
ーーカズキさんはどんなことに絶望感を覚えたのでしょうか。
駒:マコトに対してではなく自分に対して、自身の感情を信じられなくなったという絶望ですね。母親が恋はくだらないものだとカズキに話しているなか、母親に逆らってまでカズキは自分の感情を信じ進もうとしていました。しかし自分の抱いた感情がただの現象に過ぎないものだと知った絶望です。
ーー母親のことを尊敬するふたりの姿も印象に残っています。
駒:日本では片親と聞くと「かわいそうに」と同情的な眼差しを向ける人が多いと思います。でも実際に知り合いなどを見ていると、片親という状況も人それぞれで、必ずしも不幸であるとは言い切れないものだと思います。カズキとマコトは母親からちゃんと愛されて育てられたことを描きたいと思い、1番身近な大人である母親を尊敬するふたりの姿を描きました。
ーー本作を描くなかで印象に残っているシーンは?
駒:カズキとマコトがはじめて会うシーンですね。カズキがマコトを一目見て気に入り、恋に落ちたことが伝わるように描きました。
またカズキが自分を信じられなくなってしまい泣くシーンも印象に残っています。人間が絶望したときというよりも、まだうら若い少女が絶望した場面であることを意識し、カズキが大泣きするシーンを描きました。
ーー漫画を描きはじめたきっかけを教えてください。
駒:絵を描くのが好きで……というよりも話を考えるのがもともと好きだったのですが、私は漫画や小説よりも映画が好きでした。映画をつくるとなると様々なことを積み上げる必要がありますが、漫画なら監督も演出も、出演者やキャストの見た目も、すべて自分で決められます。漫画で映画を撮っているような感覚で作品を描いていますね。
ーー漫画を描き始めたのはいつ頃から?
駒:小学生のころから漫画を描いていました。ただ描き続けてきたわけではなく、何度も筆を折っていて……。2019年に連載が始まった『歌舞伎町の洗濯屋さん』から継続して漫画を描くようになりました。
ーー筆を折った経験について教えてください。
駒:この作品を描いたからもういいかなと思い、担当編集と連絡を取らなくなりといったことを繰り返していましたね。もう漫画を描きませんと言ったのですが、その担当さんから「あなたはまた漫画を描くと思うから」と言われて。
その言葉どおり私は話を思いつき、完成した漫画担当さんに送りましたね。そして打合せで私がクリーニング店でアルバイトしていることを話したことから『歌舞伎町の洗濯屋さん』の連載につながりました。
その後に連載した『彼は愛を撮る』はカメラマンをしていた経験から生まれた作品であり、『マンガ家だって女の子だもん』も漫画家として活動するなかで体験したことなどを織り交ぜながら描いています。
ーー実体験を漫画として描くなかで感じることは?
駒:自分がなにかを思うことはあまりないですね。自分ではなく、読者に対して作品からなにかを思ってほしいと思っているので。自分の経験を読者に預け、返ってきた反応を見ることは楽しみです。
ーー今後の目標について教えてください。
駒:話が思いつく限りは漫画を描いていけたらと思います。読んでくれる人がいて、自分の脳みそが話を考え続けられる限りは商業作家として続けていきたいです。Twitterでは商業として漫画を描くよりも自由に掛けると思うので、いろんな世代の、いろんな分野の人に見ていただけるように漫画を描き続けたいです。