月刊オカモトショウ特別編 いまだから読みたい、萩尾望都&高野文子作品の色あせない魅力を語り尽くす

オカモトショウが語る、萩尾望都&高野文子

 OKAMOTO’Sのオカモトショウがおすすめのマンガを紹介する「月刊オカモトショウ」。今回は、OKAMOTO’Sメンバーの長年の友人であり、ライター・ラッパーとして活動している白石倖介(コース)氏との対談の後編をお送りします。取り上げる作品は、萩尾望都の『11人いる!』『ポーの一族』、高野文子の『黄色い本』『絶対安全剃刀』。マンガ史上に残る名作をもとに、少女マンガの魅力について語ってもらいました。

SFのクラシック『11人いる!』の素晴らしさ

――今回のテーマは少女マンガ。歴史的名作をもとに、お二人のトークを聞かせてもらえたらなと思ってます。まずは萩尾望都の代表作『11人いる!』(1975年)です。

オカモトショウ(以下ショウ):今日改めて読み直したんですけど、やっぱりすごいですね。

白石倖介(以下白石):すごいよね。このマンガを描いた当時、萩尾先生はまだ20代。

ショウ:信じられないよね。だって、神話でしょ、これ。

――本格的なSFを少女マンガの世界に取り込んだ作品としても知られていますね。

ショウ:そう、SFのクラシックとしても素晴らしくて。『11人いる!』も倖介に勧められたんですよ。少女マンガはそんなに読んでいなかったんだけど、これは本当にビックリしました。

白石:少女マンガが読めない人もいるけど、ショウはマンガ好きだし、SFも好きだって知っていたから勧めた覚えがあります。。昔、別の友達に『トーマの心臓』を貸したら、『何が描いてあるのかわからない』って途中で返されたことがあって。あれは衝撃でした(笑)。

ショウ:わかんなかったんだね(笑)。

白石:物理的な苦難を越えていく成長物語が多くの少年マンガの骨子だとすれば、少女マンガには登場人物たちのインナーワールド、内的世界における感情の変化を表現するシーンがたくさんあって、ドラマの盛り上がり方がまるで違ったりするから、極端に読み慣れていない人だともう、読めないみたい。

ショウ:倖介が今言った少女マンガのインナーワールドの描き方、キャラクターの心の動き方については、俺もわからないところがあるんだよね。たとえば女の子のキャラが「もうやだ」って走り出すシーンがあったとして、「え、どうして?」って思ったり(笑)。そういうときは奥さんに「これ、どういうこと?」って聞きますね。

白石:(笑)。

ショウ:そういうとき、俺はやっぱり男の子っぽいマンガが好きなんだなって思います(笑)。でも、『11人いる!』みたいな作品は、好き嫌い、得意不得意を越えたところまで到達してるんですよ。

白石:まず“11人”という人数がすごいよね。宇宙大学の入学試験で宇宙船に閉じ込められる話なんだけど、6人でもいいわけじゃないですか。「チームは5人一組なのに、6人いる!」って。11人のキャラクターにそれぞれ特徴があって、ドラマがあって、物語がある。続編も素晴らしいよね。

ショウ:『東の地平・西の永遠』ね。

白石:『11人いる!』に出てきた2人に別のフォーカスを当てて、緊張感のある物語の中で不意にとても悲しいことが起きて……。もう1回読みたくなってきた(笑)。

ショウ:最初に読んだのは学生のときだけど、大人になってから読み直すと、さらに感動するよね。それぞれの心の動きがより深くわかってくるし、ロマンもあり、切なさもあり。

白石:多くの萩尾作品に通底するテーマだけれど、性はこの作品においても重要な、SF的モチーフになっているよね。

ショウ:うん。生き物として子孫を残すことの意味も描かれていて。人間同士の場合は、そこに愛があるはずだっていう。『11人いる!』は、その後のマンガや映画にもめちゃくちゃ影響を与えていますね。

時代を超えて物語が続く『ポーの一族』

――『ポーの一族』も歴史的名作ですよね。

ショウ:まさに。ヴァンパイアものの傑作です。

白石:“バンパネラ”ね(笑)。

ショウ:そうか(笑)。ポーの一族は吸血鬼で、死ねないんですよ。永遠に生きてしまうことの切なさや悲しみだったり、『11人いる!』と同じように、遺伝子を残すことの意味も描かれていて。

白石:『11人いる!』が無限の宇宙を、『ポーの一族』は永遠の生を描いていて。僕らは萩尾先生の作品を読むことで、無限や永遠を体験できるんですよ。『ポーの一族』は、今も新作が読めるっていう素晴らしさもあって。

ショウ:え、新作あるの?

白石:知らないの!? 絶対読んで! エドガーがトランクを差し出して、「アランは ここにいるよ」って言うんだよ! 

ショウ:やばい(笑)。読まないと。

白石:2021年に新作が読めること自体、非常に“ポー”めいてますよね。原作の最終話「エディス」(1976年)は、その当時の“現代(1976年)”が舞台だったんです。僕の母親はリアルタイムで読んでいて、僕は子供の頃「最後の舞台は現代なんだよ」って教わったんだけど、まさに今、子供である僕がその状態を体験できている。最新の「月刊flowers」に『ポーの一族』が載っているって、めちゃくちゃポーめいてますよね。



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