【漫画】もしも簡単に夢が叶ったとき、人は幸福になれるのか? 現役の倫理教師が描く『幸福の門』がTwitterで大反響

「幸福」をテーマにした理由と背景にある哲学って?

ーー多岐に渡る倫理のテーマの中でも「幸福」を題材とした理由はなんですか?

パパ頭:『幸福の門』は、どうしたらみんなが倫理に興味を持ってくれるのか?と考えたことがきっかけで生まれました。

 ですが、倫理って数ある学問の中でも本当にニッチで、堅そう、または役に立たなそうというイメージを持たれている方が多いかなと......。なので、哲学者の名前や小難しい概念を出さずに、まずは多くの人にとって身近なテーマである「幸福」という題材を選びました。

ーー本作が生まれるきっかけとなった体験がありましたら教えてください。

パパ頭:授業で話し合いをする際に、私が選ぶテーマの1つとして、「結果と過程、重んじるべきはどちらか」というものがあります。具体的なシチュエーションを与えて話し合ってもらうとすごく盛り上がるんですよね。

 例えば「子どもにお手伝いしてもらいたい時、お小遣いという報酬を与えることで結果を促すことをどう思うか?」、「夏休みの宿題を代行業者にお金を支払ってこなすのはどうか?」「何もせずに志望大学に一発で合格できるというルートを提案されたら君はどうするか?」など、角度を変えつつ質問をしていくと、だんだん自分が何に重きを置いているかが見えてくる。

 どちらが正しいというわけではないのですが、質問を続けていくと過程を抜きにして結果を得ることの怖さみたいなものに気付いて段々と不安になってくる......という生徒がいるんですよね。

 この一連の流れを漫画にしたくて、でもそのまま漫画にするとあまりにも長くなってしまうので「幸福」の内容や主人公の描写はあえて抽象的にしつつ、この門を潜ったら全部達成されるというシンプルなストーリーにしていったら本作が誕生しました。

「読む」よりも「考える」

ーー漫画の間に「お時間に余裕があれば、ここで一度足を止めて、自分であればどう判断するか、それは何故なのか、じっくり考えてみてください」という「問いかけ」を挟む演出がとても斬新で面白かったです。

パパ頭:『幸福の門』のような作品は、今後も「日々の問いかけ」シリーズとして発表していきたいなと考えているのですが、「日々の問いかけ」で始まる作品は必ず2ツイート目に「問いかけ」を挟もうかなと思っています。

 次第に読者の方も、この後に「問いかけ」が待っている!と身構えて、作品を注意深く読むようになったら面白いですよね。作品を「読む」よりも「考える」ことに没頭する、そして物語のエンディングが楽しみになる......というような漫画にできたらと考えています。

ーー「日々の問いかけ」シリーズを考える時、まさに倫理教師としての経験が活きていそうだと感じたのですが、いかがでしょうか?

パパ頭:めちゃくちゃ活きてます! 『幸福の門』の構想を練っていた時も、実際に生徒たちに議論してもらうことで、作品のヒントとなるような新たな発見が沢山ありました。

 また倫理は自分の内面をさらけ出して考えを表明することで役職や年齢などに拘束されず教師と生徒が対等に語り合える......とても面白い科目だなと改めて思いました。

ーーでは最後に、読者の方にメッセージをお願いします。

パパ頭:倫理の醍醐味は「考える」ことだと思っています。だからこそ『幸福の門』が、みなさんにとって「考える」ことが楽しめるような漫画になれたら嬉しいです!

 また、今後は育児漫画はもちろんですが、自分の専門分野である倫理をメインに生徒たちの学習意欲が促されるような漫画を描いていきたいなと思っています。『幸福の門』は教材としてもっとブラッシュアップしていきたいので、学校の授業として使うなら改善した方が良いポイントなどあったらぜひコメントいただけたら幸いです。

Twitter:https://twitter.com/nonnyakonyako
その他作品はこちら:https://papa-atama.hatenablog.com/

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