【漫画】小学生の男の子が感じた“自由の難しさ”に共感の声 『図工の「ある授業」が苦手な子』

【漫画】図工が苦手な男の子に共感

ーー自由であることの不安感が丁寧に表現されている作品だと感じました。『図工の「ある授業」が苦手な子』を創作したきっかけを教えてください?

かくたすず:これまで私はファンタジー作品ばかり描いていました。今年から漫画創作コミュニティに所属したのですが、そこではエッセイ漫画を描いている人が多く、私も自身の体験を題材に描いてみたいと思ったのが本作のきっかけですね。

 自分の過去から題材を探したときに、図工の授業で作品を作ることができず、なにもせずに座っていたときを思い出したんです。そのときの体験を題材とすることを決めて、お話の最後には作品を作れずに悩んでいる子が救われればいいなと思いながら本作を描きました。

ーーかくたさんも作品の男の子と同じ経験をしていたことに驚きました。印象に残った読者からの感想はありましたか?

かくたすず:「自分も男の子のように、図工の時間にどうすればいいか悩んでいた」といった声が多くてびっくりしました。小学生の頃、クラスの中で自分だけが作品を作れずにいたので……。作品をTwitterに投稿して、私以外にも自分と同じような経験をしている人がいることを知ることができました。

ーー作品を作ることができない男の子を見守る先生の姿も印象的でした。

かくたすず:小学生だった私の担任の先生は、作品を作れず固まっている自分に色々と声をかけてくれたんです。「なんでもいいんだよ」とか、他の子の作品を見せてくれながら「こういうのでいいんだよ」とか。しかし私は作品を作ることができず、当時を振り返ると先生も困っていたんだろうなと思いました。なので、作品を描く際には先生の視点も意識していました。

 作品のなかで先生が悪者にならないように、先生が男の子のことを見ていたことや、男の子の行動を受け入れてくれることなどを描きました。

ーー自由に作っていいことに悩む男の子が、飼っていた犬を亡くしてしまった女の子のために作品を作るという結末を描いた理由は?

かくたすず:図工の授業で作品を作る際、自分の中にあるものを表現したい人だけじゃなく、誰かを喜ばせたいとか、元気になってほしいとか、他者に対する気持ちの方がモチベーションになる子もいると思うんです。なので自由に作っていいと言われた男の子が、誰かを喜ばせるために作品を作るという結末を決めました。また、本作では意識的に人のつながりを描こうとしていたことも挙げられます。

ーー人のつながりを描きたいと思った理由はなぜでしょうか?

かくたすず:編集者と作品の方向性について話した際に、「かくたさんは人とつながりを大切にしているんじゃないか」と言ってくださったんです。その言葉から私は人とのつながりを描いている作品が多いことに気がつきました。

 本作を描く際には、これまで無意識のうちに描いていた人とのつながりを意識して執筆にあたりました。

ーーかくたさんは今後どのような作品を描いていきたいですか?

かくたすず:現在はWeb漫画掲載サイト「コミチ」で連載する漫画の準備をしています。連載作品はフィクションに寄せた作品になる予定です。読者の方が何か発見を得られるような漫画をつくりたいと思います。

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