【漫画】いじめられっ子の女子高生が幽霊になって悪を成敗! ネット大反響『死んでから本気出す』インタビュー

【漫画】『死んでから本気出す』が面白い

手塚治虫、水木しげるからの影響

――ちなみに橋本さんは、これまでどのような漫画作品を読んできたのでしょうか?

橋本:ジャンル問わずいろんな作品を読んできましたね。いちばん好きな漫画はあずまきよひこ先生の日常漫画『よつばと!』(KADOKAWA)です。本作との関連性はゼロですが(笑)。

 小学生の頃は手塚治虫先生の作品をかなり読んでいました。父親が文庫版の『ブラック・ジャック』(秋田書店)や『陽だまりの樹』(小学館)、『ブッダ』(潮出版社)などをたくさん買ってきて、それらが本棚にずらっと並んでいたので、自由に読み漁っていました。手塚先生の作品はいまだに読み返しています。なかでも『ブラック・ジャック』と『陽だまりの樹』は特に好きな作品ですね。

――実際に漫画を描くようになってから改めて読み返すと、見方は変わるものですか?

橋本:そうですね……。ただ、手塚先生クラスになると、参考にするという発想にはならないです(笑)。小学生時代の気持ちが蘇るというか、楽しむ気持ちが先にきますね。

――橋本さんは本作以外にも現在「週刊少年チャンピオン」で『ギャルの背後に霊がいる』も連載中で、本作連載の前に「くらげバンチ」で『オカルト好きな先輩が心配』も描いています。どの作品にも幽霊を含む「オカルト」の要素が含まれているのが特徴的ですが、その影響はどこから来ていますか?

橋本:いちばん幼い記憶だと、幼稚園の頃にNHKで放送されていた水木しげる先生原作のドラマ『のんのんばあとオレ』ですね。実写ドラマにもかかわらず、アニメーションの妖怪がたくさん出てくるのが面白くて、ビデオに録画して何回も見返していました。オカルトの側面で言うと、水木先生の作品からの影響は大きいかもしれないですね。水木先生の作品だと『河童の三平』をよく読んでいました。

――橋本さんはオカルトのどのような部分に魅力を感じていますか?

橋本:僕自身は全く霊感がないみたいで、不思議な体験は一度もしたことがないのですが、言ってしまえば、そんな僕でも題材にできるくらい、オカルトは自由な世界だと感じます。例えば、みなさんも聞いたことがある「口裂け女」という妖怪を描くにあたって、言い伝えられている事実に忠実である必要は全くなくて、作中で独自のアレンジを加えても何ら問題がないんです。数々の作家たちの手によって、一般的に知られている妖怪が、より魅力的な妖怪になっていく。この感じが好きなんだと思います。

――Web連載作が単行本として発売されました。1冊にまとまった単行本を見て感じることはありますか?

橋本:漫画には、連載を追いながら「次回どうなるんだろう?」と続きを待つ楽しみもあると思うのですが、ただ単行本として一冊にまとまることで、情報が整理されて、より内容に注目して楽しんでもらえるような気がしました。Webで連載を追ってくださっている読者の方も、ぜひ単行本で読んでいただき、さらに深く内容に触れてもらえると嬉しいです。

 それに、今は紙の本が売れなくなってきている時代です。漫画もWebサイトで読まれる機会が増えていますが、書店に行くと陳列やポップなど、書店員さんがたくさん工夫してくださっているのが伝わってくるんですよね。その思いに応えたい気持ちがすごくあるので、漫画家として“売れるモノ”を生み出せるよう頑張っていきたいと改めて思いました。

――単行本の表紙も素敵なデザインですし、そこを含めた紙ならではの楽しみ方もあると思います。では最後に、言える範囲で構いませんので、今後、どのような展開を迎えていくのか教えてください。

橋本:今後は、瀬奈とファミリアの関係性に注目していただきたいですね。本編ではまだ二人の関係性を掘り下げられていませんが、単行本に収録されている描き下ろしではちょっとだけそこに触れています。二人の関係性が徐々にどう変化していくのか。今後はさらに二人に感情移入しながら読んでいただけると思うので、楽しみにしていてください。

■書籍情報
『死んでから本気出す』
橋本くらら 著
定価:682円(税込)
出版社:新潮社

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