『東京卍リベンジャーズ』は2020年代の『SLAM DUNK』? 両作の共通点を探る

『東京卍』に感じる『SLAM DUNK』感とは?

 実写映画化作品の主演は北村匠海ではありながら、何なら的場浩司の顔を思い浮かべる読者もいるんじゃないだろうか。

 映画化だけでなくTVアニメ化も果たした、累計600万部突破の話題作『東京卍リベンジャーズ』(以下『東卍』/和久井健)。ひと言で言えば、ヤンキー漫画にしてタイムリープものということになるが、往年の読者にとっては『代紋TAKE2』(木内一雅・渡辺潤)が思い出されるところだろう。惨めな最期を迎えたヤクザが10年前に舞い戻って、人生をやり直す……という本作のTVドラマシリーズで主演を務めたのは、そう、的場浩司!

 そんなふうに書き連ねると、『東卍』を未見の読者は本作もまた昔気質の作品と想像されるかもしれない。いや、否だ。一連のヤンキーアクションとも、またSFものとも一線を画すのが本作。新しくも懐かしいのが、その魅力だ。

※以下、ネタバレを含みます。

それぞれの強さを追求

『東京卍リベンジャーズ(1)』(講談社)

 現在はフリーターをしていて、バイト先の年下の店長にこき使われているタケミチこと花垣武道。ある日、彼は中学時代に付き合っていた人生唯一のカノジョ・橘日向が最凶最悪の悪党連合“東京卍會”に殺されたことを知る。

 さらに翌日、タケミチは駅のホームで何者かに背中を押されて、線路に転落。死も覚悟した瞬間に目を開けると、人生のピークだった12年前の中学時代に戻っていた。そしてタケミチは日向を救うため、逃げ続けた自分を変えるため、“東京卍會”に入り込んで仲間を得ながら人生のリベンジを開始する。

 本作が秀逸なのが、成長と友情の物語であるともに、さまざまな伏線が散りばめられたミステリーとなっている点。日向を殺した犯人は誰なのか。また、そこまで何が起こっていたのか。読めば何とも巧みな構成であることに気づかされる。犯人探しで相手の懐に入ることがそのキャラクターの掘り下げにもなっていて、怪しむ一方で人柄に打たれて、人柄を知る一方で怪しさも募る。

 それぞれに個性だけでなく、自身のドラマを抱えたキャラクターたちは、喧嘩が弱かろうと、勝ち目はなかろうと、それぞれの強さを追求している。そのビジュアルとスタイルがまた何ともスタイリッシュ。ヤンキー漫画としてはクールとさえ言ってもいいかもしれないが、そのど真ん中にあるものは熱い。

 この新しさと懐かしさに、90年代によく似た感触の漫画があったことを思い出す。絵柄はスタイリッシュでクールにして、中身は骨太で熱い。キャラクターそれぞれがビジュアルにおいても個性においても立っていて、そんな彼らが戦う理由が時には題材よりもドラマとなる。その作品は、『SLAM DUNK』(井上雄彦)だ。

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