YOASOBI「あの夢をなぞって」の世界観はどう作られた? 原作者 いしき蒼太 × 漫画家 kancoが語り合う

YOASOBI「あの夢をなぞって」の世界観はどう作られた? 原作者 いしき蒼太 × 漫画家 kancoが語り合う

 小説を音楽にするユニットYOASOBIの人気楽曲「あの夢をなぞって」。その原作小説『夢の雫と星の花』をコミカライズした書籍が、2月14日にリリースされた。

『夢の雫と星の花』(monogatary comics)
『夢の雫と星の花』(monogatary comics)

 『夢の雫と星の花』は、原作者・いしき蒼太による甘酸っぱいラブストーリー。予知夢能力がある女子高生・双見楓は、花火大会の日に幼なじみの一宮亮から告白される夢を見る。ところが、亮も予知夢能力を持っており、楓から告白される夢を見ていた。どちらの夢が現実になるのか……?

 未来を予知できるからこそ揺れ動く想いが、kancoによる作画で繊細に描かれる。コミカライズにあたり、コミックには2人のその後が紡がれた書き下ろし小説や、キャラクターラフ、予知解説図なども収録。楽曲ファンも、原作ファンも、必見の1冊になっている。

 今回リアルサウンドでは、原作者のいしき蒼太、そして作画を担当したkancoに、インタビューを企画。原作小説が生まれた背景から、コミックが完成したときの想い、YOASOBIのライブに参加したときの感想など、たっぷりと語ってもらった。(佐藤結衣)

「終盤の花火シーンのためにこの小説を書きました」

――最初に、小説『夢の雫と星の花』を書かれたきっかけについて教えてください。

いしき蒼太(以下、いしき):公募のサイトで『モノコン2019』というコンテストを見つけたのがきっかけです。“90日後に原作者。”というキャッチコピーが書かれていて、ワクワクしました。自分が書いた小説が、ミュージックビデオになるかもしれないと考えて、応募しようと思いました。

――『夢の雫と星の花』では、予知夢がキーワードになっていますが、もしかしていしきさんもそうした力が?

いしき:いえいえ、自分の経験からというわけではありません(笑)。なぜ、予知夢をテーマにしようと思ったのかは、今でははっきりと思い出せないのですが、「良いアイデアが浮かんでワクワクしてる!」とツイートしていたのは覚えています。アイデアの段階で手応えのようなものがあったので、どうにかコンテストの締め切りまでに形にしたいなと思いました。

――思い入れのあるシーンを教えてください。

いしき:気に入っているのは、やはり終盤の花火のシーンですね。このシーンのために小説を書いたといってもいいくらい。逆に、苦労したのは冒頭と中盤にある2つの予知です。終盤の花火のシーンに向けて、どのように展開をつないでいくのか、試行錯誤しながら進めていったので。

「“あのMVの2人にこんな大変なことが!?”」

――kancoさんが作画を担当することになったのはどのような流れからだったのでしょうか?

kanco
kanco氏

kanco:『COMITIA』という創作系のイベントサークルに参加した際、担当編集さんの目に偶然とまったというのがきっかけでした。小説を音楽にするという企画から、コミカライズという、あまり聞いたことがなかった展開だったので、“おもしろそう!”と惹かれました。

――小説を最初にお読みになった感想はいかがでしたか?

kanco:とても爽やかな、清涼感のある文章で、主人公2人の一生懸命さが伝わってくる作品だなと感じました。予知の展開の仕方にも引き込まれましたね。実はすでにリリースされていた「あの夢をなぞって」を聴いてから、小説を読ませていただいたのですが、“あのMVの2人にこんな大変なことが!?”と驚きました(笑)。

――先ほど、小説から音楽、そしてコミカライズと、あまり聞いたことのない展開だったとおっしゃっていましたが、作品を手掛ける上で心がけたことはありましたか?

kanco:小説も、楽曲も、形としては別々の作品ではありますが、2つでひとつの物語としても成立している気がしていたので、さらに漫画でも2つの作品とリンクさせていきたいと考えて、作業を進めていきました。キャラクターデザインもそうですが、予知のシーンでMV演出のエッセンスをお借りしたり、原作のセリフのほかにも歌詞をイメージしてみたりと、作業中は2つの作品を行ったり来たりしていましたね。

キャラクターに命が吹き込まれた

――いしきさんは、kancoさんの作画をご覧になったときどんな感想をお持ちでしたか?

いしき:頭の中で思い描いていたキャラクターたちが、絵にしていただいたことで、命が吹き込まれたような気がして、とても感動しました。

kanco:ありがとうございます! 

――いしきさんは先ほど「お気に入りは花火のシーン」とおっしゃっていましたが、kancoさんの思い入れのあるシーンはどこでしょうか?

kanco:私も、いしきさんと同じで花火のシーンがお気に入りです。最初と最後を飾る大切なシーンだったので、印象的になったらいいなと思って描きました。そして、苦労したのはやはり予知との時系列を合わせていくところです。言動も楓から見たものと、亮から見たものとで、ズレがないかなど……担当編集さんにも何度も確認していただいて、とても助かりました(笑)。

地元での交流会で実感した作品の力

――書籍化されたときのお気持ちは?

いしき:『夜に駆ける YOASOBI小説集』の時もそうだったのですが、見本をいただいたときに、改めて“本当に本になったんだ”という実感が湧きましたね。書店などに行った際にはどこかに置かれているのかなと思ってつい探してしまっています。

kanco:いろんな角度から、好きなように物語の中を渡り歩ける作品なので、書籍版もその中に加えて楽しんでいただけましたらうれしいです。

――反響も大きかったですか?

kanco:最近、漫画家として地元の小中学生と交流する機会をいただくことがあったのですが、生徒のみなさんはもちろん先生方もみなさんYOASOBIさんをご存知で。幅広い年齢層の方と、共通の話題を持つことができました。改めて、すごい作品に携わらせていただいたのだと実感しました。

いしき:SNSで発売を楽しみにしてくださっているツイートや、「購入しました」という報告の声を拝見して、うれしかったですね。

――今回の書籍化では書き下ろしの「アナザーストーリー」も追加されました。続編を書かれたのは、どんなお気持ちでしたか?

いしき: 本編を書いたときには考えてもなかったことなので、実はけっこう悩みながら書いてました(笑)。

kanco:私は、楓が頑張っている姿をたくさん描けて楽しかったです!

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