歌舞伎町イチ、癖がすごいゲイバー店員・カマたくが説く人生論は仏教の真理だった?

歌舞伎町イチ、癖がすごいゲイバー店員・カマたくが説く人生論は仏教の真理だった?

 ツイキャスでゲイ&風俗ネタをウリに知名度を上げ、現在はTwitterやYouTubeに動画を上げて人気を博しているインフルエンサー・カマたく初の単行本『頑張らなくても意外と死なないからざっくり生きてこ』(KADOKAWA)は、なんと意外なことに仏教の教えに通じるカマたくの人生観、生き方が語られる一冊になっている。

カマたくとは? 動画と本の違いは?

 カマたくは、ふだんは新宿・歌舞伎町のゲイバー勤務。そんな彼が、道でつば吐くやつ、割り込んでくるやつ、感じの悪い店員といった、生活していて出会うイラッとくる人物に遭遇したときのエピソードを「あるある」的な動画にまとめ(ゲイ風俗でのトンデモな要求をしてきた客との経験を語ったものは全然「あるある」ではないが、それを除けば)、最終的にはその怒りをペットボトルや空気人形などの物にぶつけて終了するという、フジテレビの『痛快TVスカッとジャパン』にも通ずる構成の動画で知られている。

ゲイ関連のお話とイライラ

 この本では「あるある」要素はあまり見られない。ではどんな内容か? カマたくがQ&A形式で人生相談に対して持論を語ったり、中1のときにDVされていた父親から身体を売らされたあと自発的に売春するようになったり、ブラック企業に複数社勤務したりしていたという過去を語ったりする、というものだ。

 動画ではカマたくが演じるムカつく人物の演技やそれに対するレスポンスの表情や、「ストレスの空気感染がひどい」「下ネタのエレクトリカルパレード」といった独特のワーディングのセンスのおもしろさが特徴だ。

 しかし本では当然、顔芸はない。また、ワーディングセンスの妙は後退したわけではないが、むしろ発言内容の説得力のほうが際立っている。

インフルエンサー本というよりマジモンのビジネス・実用カテゴリーの本では?

 たとえば、コミュ力がなくて悩んでいるという人に対しては「会話が苦手なことより無表情のほうが大問題。人見知りはとにかく微笑んでいろ」。

 SNSに疲れてます、という人に対しては「Twitterは治安悪いし、Instagramは見栄の塊。平和になんてできるわけないからめんどくさいならやめろ!」「キラキラして見える人のほうが、案外しんどさ抱えてる。一生インスタにUPしない、日高屋の唐揚げが一番旨い」。

 ブラック企業勤務の経験からは「パワハラがまかり通ってる会社って、もうパワハラがルールになって回っちゃってるところが多い。組織に属するには、組織の常識に順応しなきゃいけない。悲しいけど、改革するとかって難しいし体力を消耗しちゃう。常識が意味不明なら「私にここは合ってない」って判断でやめるのが早いわ」。

 この洞察力と問題の対処法は、数あるインフルエンサー本の中でも屈指の実用性を誇ると言っていいだろう。カマたくはなぜこうした、身も蓋もないが「たしかに」「なるほど」と思える発言を連発できるのか? カマたくが自身の経験から、透徹した視線を持つリアリストになったからだろう。

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