『まんがひみつ文庫』から『ウンコロジー入門』まで……休校中の児童に読ませたい、勉強の動機を与える良書6選

『まんがひみつ文庫』から『ウンコロジー入門』まで……休校中の児童に読ませたい、勉強の動機を与える良書6選

 全国の少なくない地域で、早くともゴールデンウィーク明けまでの休校延長が決まった。ここではそんななか小学生の子ども向けに親が与えたい本(シリーズ)をセレクトした。

 学校が休みになって学習の何に障害が起こるか? 動機付けの問題だ。毎日学校に行くという習慣が失われると、勉強の動機は子どもの外側(教師など)から与えられず、強制力が働かない。「勉強したい」「勉強っておもしろい」「勉強しなきゃ」と子ども自身が内発的に考えないかぎり、勉強に向かうことは難しい。

 ドリルを与えても、教育系YouTuberの第一人者である葉一のわかりやすい授業動画を見せても、そもそもの動機を作らないかぎり、まともに勉強するはずがない。

 今の時期は、勉強の動機を子ども自身が発見する機会を与えることに注力した方がいい。「勉強しよう」と本気で思えば、1カ月か2カ月くらいの遅れはすぐに取り戻せる。ここで怠け癖が付き、動機が失われた状態で学校に戻っても勉強したい気持ちに火を付けるのは難しくなってしまう。

 そんな視点で選んでみた。

『まんがでよくわかるシリーズ・ひみつ文庫』(学研プラス)

『まんがひみつ文庫 エアコンのひみつ』(学研)

 小学生女子が選ぶ「これまでに読んだ本の中でいちばん好きな本」は何かご存じだろうか? それは『ヘレン・ケラー』でも『ナイチンゲール』でも『赤毛のアン』でもない。学研プラスが刊行する『まんがでよくわかるシリーズ・ひみつ文庫』という学習マンガだ。

 2019年6月実施の第65回学校読書調査でのアンケートによれば、同シリーズは小学生女子部門で60票を獲得し、2位の『ふしぎ駄菓子屋銭天堂』『名探偵コナン』各27票に倍以上の差を付けてトップになっている。

 学習マンガといえば定番は歴史や偉人の伝記もの、最近では『サバイバル』シリーズをはじめとする科学系のものも流行しているが、本シリーズの特徴は「お仕事もの」的な切り口にある。

 このシリーズの基本的な構成はこうだ。対象読者と同じ小学4~6年生の少年少女(ペアまたは3人)が主役となり、各巻のタイトルになっている「エアコンのひみつ」や「真珠のひみつ」といったテーマについて教えてくれる存在(おじいちゃん、お父さん、ロボット、何かの精、企業の人など)と出会い、その題材の歴史や製造工程を学び、実際に事業を手がけている企業へ見学に行き、さらに見識を深める、というものだ。

 本シリーズは、2001年に第1弾として『ハンバーガーのひみつ』を刊行して以来、1冊ごとに各巻のテーマとなる「サイダー」「雷」「高野豆腐」「多目的作業車」等々に関する内容を、各企業と学研とが共同制作するかたちで成り立っている。

 企業が制作資金と専門的な情報を協賛という形で提供し、学研は企業に対する取材を元にマンガを制作し、学校図書館や公共図書館などに副教材として納める、というスキームだ。

 もちろん、公共空間に置かれ、子どもたちの手に届くものだから、特定企業の露骨な宣伝にならないよう、あくまで題材となるものの歴史や用法、製造工程などに関する学習マンガとしての枠組みは堅守。

 つまり、表向きは特定の題材についての学習マンガなのだが、裏テーマは“世の中にはそんな仕事があるんだ”“将来、こういうことに携われたら楽しそう”と子どもたちに感じてもらうことを目的とした「キャリア教育」の本でもある。

 学習マンガを読むことを通じて、学校で習う歴史や理科と、実社会にある仕事とが有機的に結びついていることが自然とわかる。

 さらにはこれからの社会で必要とされること(環境への配慮、グローバル化への対応など)が、読者である自分たちと近い作中の主人公たちの姿を通じて実感できる。

 「将来○○になりたい」「こんな仕事をしたい」――そのためにはどんな勉強をしたらいいの? 今何をしておけばいいの? と子どもに自発的に思ってもらえれば、あとは少しのサジェストで勉強に向かってくれるはずだ。

 なお、本シリーズは書店流通(市販)はしていない。全国約2万の小学校と約3千の公共図書館、そして約800の児童館に寄贈している。学校図書館は閉鎖しているところが多いだろうから、近くの公共図書館で予約して借りてほしい。

『学校では教えてくれない大切なこと』(旺文社)

『学校では教えてくれない大切なこと(13)勉強が好きになる』(旺文社)

 旺文社が2015年7月から刊行する『学校では教えてくれない大切なこと』シリーズ(全29タイトル、累計200万部突破)は「時間の使い方」「夢のかなえ方」「数字に強くなる」などのテーマを扱った「子ども向け実用書」ジャンルのパイオニアだ。

 各巻のテーマ設定は「大人が子どもにやってほしい、考えてほしい、知ってほしい」という親目線で練られているが、中身は子どもの興味・関心・納得感に訴えるというつくりになっているのがポイントだ

 特に売れているタイトルは『整理整頓』『時間の使い方』『勉強が好きになる』。毎日のように子どもに「片付けなさい」「寝る時間だよ」「宿題しなさい」と言っている親が多く、しかし、どうすれば納得してやってもらえるかに苦労しているからだろう――子どもが家にいる時間が増えた今、ますますその需要は高まっている。

 従来の子ども向け実用書はテキスト中心でとっつきにくかったが、このシリーズは読みやすい学習まんがスタイル。それも読者が説教臭さを感じないよう、全体的にくだけたトーンで、絵柄はコミカル。歴史や伝記ものの学習まんがと比べると、だいぶデフォルメされたキャラクター造形になっている。ストーリーでもギャグを多めにして子どもが親しみやすく、最後まで読み切れるよう工夫が凝らされている。

 まんがには優秀な子だけでなくおっちょこちょいや、親に言われたことをなかなかやらない怠け者キャラも用意して子どもが感情移入しやすくし、宇宙人が登場するといった場面設定を用意して興味を惹くように工夫されている。

 休校タイミングの今与えるなら『勉強が好きになる』『夢のかなえ方』『本が好きになる』『ネットのルール』あたりだろう。

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