高杉真宙、新田真剣佑、星野源……小説カバーや出版社フェアに選ばれるタレントの特徴

小説カバーに起用される俳優の特徴

 恩田陸が2004年に発表した長編小説『禁じられた楽園』のカバー改訂版が発売に。カバーモデルには、俳優の高杉真宙が抜擢され、話題を呼んでいる。

 本作は、平凡な大学生の平口の前に天才芸術家・烏山が現れたことから幕を開ける幻想ホラー小説。烏丸の招待により、とある山奥の野外美術館を訪れた平口が、想像を絶する恐怖に直面する姿を描く。ミステリアスな内容に合わせ、カバーでは漆黒の闇を背負い、こちらをまっすぐに見つめる高杉の写真を採用。物語に登場するキャラクター、烏丸をイメージした1枚だという。

 書籍の単独表紙モデルは今作が初めてで、事前に原作を読み込んで撮影に臨んだという高杉は、「セリフと所作で表現する映像作品と違い、写真1枚で表現する本のカバーということもあり、如何にして烏山響一という人物の持つミステリアスな魅力を出せるかを非常に意識しました」とコメント。カバーはまさしく本の“顔”。限られたスペースで物語の世界観を表現する難しさを味わったようだ。

 若手のイケメン俳優と本の組み合わせという意味で言えば、昨年には新田真剣佑が幻冬舎文庫フェアのイメージビジュアルに登場。話題の書店「文喫」や、千葉県の小湊鉄道で撮影したという本を手にした姿に、普段の俳優の顔とはまた違ったナチュラルな魅力を感じた人も多いことだろう。幻冬舎文庫はここ数年、若手俳優とのコラボを企画しており、これまでに岩田剛典(2016)、片寄涼太(2017)、北村匠海(2018)を起用している。

 集英社の毎夏恒例となった「ナツイチ」では、近年だと中条あやみ(2016)、吉岡里穂(2018)ときて、2019年は北村匠海と浜辺美波がふたりでイメージキャラクターを務めた。「ナツイチ」は、特に10代、20代をターゲットにしたフェアであることからも、若々しくフレッシュな顔が目立つ印象。

 また、文春文庫は2014年に綾野剛、2015年に同社からエッセイも出版している星野源を起用したほか、2017年にSEKAI NO OWARI、2018年は映画「億男」の公開タイミングで佐藤健と高橋一生を抜擢。2019年は橋本環奈が大役を任された。俳優のみならず、ミュージシャン、アイドルとバラエティ豊かな人選が目を引く。

 異色なところでは、河出書房が昨年秋に展開した文庫フェアに超読書家と名高い声優の斉藤壮馬を起用。本人が選出した「斉藤壮馬的河出文庫ベスト5」を核にフェアを展開し、話題をさらった。

 このほか、作品が実写映画やドラマ化されるタイミングで、主演俳優を抜擢した特別表紙の新装版を発売するといった戦略も一般化しており、俳優が本のPRに駆り出される場面は増えている実感がある。

 では、彼らに求められる要素とはどんなものだろうか。

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