なぜ“花の82年組”は豊作だった? 中森明菜、小泉今日子、早見優……80年組の旋風を追い風に花開いた必然

 本日2月15日放送の『EIGHT-JAM』(テレビ朝日系)で、昭和の時代にアイドルとしてデビューし、現在も第一線で歌い続けている女性アーティストの特集が放送される。

 アイドル黄金期と言われた1980年代。中でも、1982年にデビューしたアイドルたちは“花の82年組”として伝説化し、今もアーティストとして意欲的に活動を行っている。それにしても、なぜ“82年組”は豊作だったのだろうか。

“80年組”松田聖子人気の凄まじさ、単なるブームで終わらなかった必然

 影響のひとつとして考えられるのが、1980年代のアイドルブームの先駆けとなった“80年デビュー組”の存在だ。松田聖子、河合奈保子、岩崎良美、柏原芳恵らがデビューし、社会現象を巻き起こした1980年。とりわけ松田の人気は凄まじく、1980年リリースのデビュー曲「裸足の季節」で注目を浴びると、同年には「青い珊瑚礁」で『第22回輝く!日本レコード大賞』(TBS系)の新人賞を獲得。また、当時の松田のヘアスタイルは“聖子ちゃんカット”と呼ばれて大流行した。

松田聖子 - 青い珊瑚礁 〜Blue Lagoon〜

 大旋風を巻き起こした松田をはじめとする“80年組”に続けとばかりに、レコード会社や芸能事務所は新人アイドルの発掘/育成に乗り出した。そういった背景を追い風にして世に飛び出したのが“82年組”だったのだ。彼女たちの楽曲制作には、松本隆、筒美京平、阿久悠、細野晴臣、松任谷正隆、松任谷由実(呉田軽穂)などの錚々たる顔ぶれが名を連ねていることからも、その期待の高さが窺えた。いずれの楽曲も、デビューから高いクオリティを確立していたが、それは決して“完成形”に達していたわけではなく、あくまで“進化”の過程のひとつだった。その伸びしろこそが“82年組”がレジェンドとして語られ続けている理由である。

 アイドルブームに乗って次々と新人がデビューする状況下、それぞれに求められるようになったのが、個性の差別化。そんな中、“82年組”は唯一無二の独自路線を歩む面々が多かった。アイドルという、さまざまな人の手で作り上げられていく偶像性に終始するのではなく、自分本来の価値観や世界観を活かすようになっていったのだ。各自がそういった方向性を歩んでいったことが、“82年組”が令和の現在もアーティストとして充実した活動を続けることができている要因の一ひとつではないだろうか。

 アイドル像をメタ的視点で捉えた曲「なんてったってアイドル」(1985年)などを発表した小泉今日子は、その代表格と言える。もともと“聖子ちゃんカット”でデビューした小泉だが、書籍『小泉放談』(宝島社文庫/2017年)では、その後、自分の意思でショートカットにイメージチェンジし、事務所関係者を驚かせたことを話している。このエピソードはある意味、正統派アイドルからの脱却と、“アーティスト・小泉今日子”の第一歩と捉えることもできるだろう。そんな小泉は還暦を迎えた2026年、全国ホールツアー『KK60 ~コイズミ記念館~ KYOKO KOIZUMI TOUR 2026』を5月まで開催中。小泉の音楽活動の集大成となるツアーとして好評を集めている。

KK60 〜コイズミ記念館〜 KYOKO KOIZUMI TOUR 2026 (Comment)

 デビュー当時から大人びた雰囲気と儚さをまとって異彩を放った中森明菜も“82年組”のひとり。デビュー3年目の1984年には、井上陽水による作詞曲「飾りじゃないのよ涙は」をリリースしているが、この頃にはすでにアイドルソングの方向性とは明らかに一線を画しており、現在の“歌姫”という評価に繋がる一面を発揮していた。

【公式】中森明菜/飾りじゃないのよ涙は (Live in '87・A HUNDRED days at 東京厚生年金会館, 1987.10.17) AKINA NAKAMORI

 そんな中森は、2025年に初めて自身が作曲を担当した「Merry Christmas, My Heart」を発表。そして先日、東京、大阪、愛知の3都市をめぐる20年ぶりのライブツアー『AKINA NAKAMORI LIVE TOUR 2026』を今年7月に開催することを発表した。ホールでの中森の歌唱姿は、2006年に全7都市8公演が開催された『AKINA NAKAMORI LIVE TOUR 2006 〜The Last Destination〜』以来となる。長年、自分のペースで活動を続けてきた中森の、創作意欲にあふれるステージを期待したい。

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