YOASOBI、乃木坂46、星街すいせい、Base Ball Bear、tuki.、離婚伝説……注目新譜6作をレビュー
New Releases In Focus
毎週発表される新譜の中から注目作品をレビューしていく連載「New Releases In Focus」。今回はYOASOBI「アドレナ」、星街すいせい「月に向かって撃て」、離婚伝説「ステキッ!!」、tuki.「コトノハ」、乃木坂46「My respect」、Base Ball Bear「Lyrical Tattoo」の6作品をピックアップした。(編集部)
YOASOBI「アドレナ」
TVアニメ『花ざかりの君たちへ』(TOKYO MXほか)オープニングテーマとなる新曲。エンディングテーマ「BABY」もYOASOBIが担当し、新たな読み物として書き下ろされた楽曲の原作小説『Magical』が生まれている。Ayaseの手によるアッパーな楽曲は、憧れの男子を追いかける主人公の止まらない恋心をストレートに表現。早口言葉のような譜割りも多々あるが、そこはikuraの腕(声帯筋?)の見せどころ。心地よい高音域をキープしながら声色や表情を次々に変えてみせる技術はさすがである。また、中盤に出てくるチアリーディング風のパートは、学園アニメの雰囲気にもよく合っている(主人公が以前アメリカに住んでいたという設定を汲んでいるのかもしれない)。細かいところまで気配りの効いたプロのお仕事。(石井)
乃木坂46「My respect」
乃木坂46が1月14日にリリースする約7年ぶりとなるオリジナルアルバム『My respect』から先行配信された表題曲「My respect」は、彼女たちの“今”をリアルに刻んだ楽曲に仕上がっている。切なさ、力強さ、愛らしさを絶妙のバランスで共存させた楽曲は、今の乃木坂46に欠かせないクリエイター・杉山勝彦が所属するCoWRITEのUto、河田一真、尾上榛が担当。「これぞ乃木坂!」というメロディとともに届けられるのは、しっかりと自分の価値観を貫こうとする〈君〉への尊敬を込めた歌詞だ。集団から離れていく〈君〉とは誰か? そして、その背中を見つめている〈みんな〉とは? その答えは、これからの活動によって明かされるだろう。瑞々しい痛みと称すべきメンバーのボーカルも魅力的。(森)
星街すいせい「月に向かって撃て」
2月21日にKアリーナ横浜で単独ライブを開催。VTuberシーンを牽引しつつ幅広い音楽リスナーに強く訴求し続けている星街すいせいの新曲「月に向かって撃て」は、これまでの彼女のイメージをさらに広げる1曲だ。作詞と編曲はナナホシ管弦楽団(作曲は岩見陸のみ)。シャープかつポップなギターサウンド、自由にうねりまくるベースライン、抜群の推進力を誇るビートがせめぎ合うアレンジのなかで星街は、〈もしも人生が10分なら/7分はあなたとの決着に〉というラブリーでポジティブなフレーズを放つ。珍しく(?)ラブソングの要素を反映したこのパワーソングによって星街は、最高の2026年に向けてこれ以上ないスタートを切った。(森)
Base Ball Bear「Lyrical Tattoo」
1月28日にリリースされるミニアルバム『Lyrical Tatoo』から表題曲の先行配信。アルバムタイトルでもある“詩的なタトゥー”って何だろうと思ったが、歌詞によると〈心に刺(い)れたタトゥー〉のこと。〈言葉の届かない場所にいるあなた〉を思いながら、もう戻らない笑顔や会話、消えない青春のワンシーンを静かに反芻していく、実にメランコリックなギターロックである。また、歌詞の1行目に〈1997〉という数字が出てくるように、この曲自体がThe Smashing Pumpkinsの名曲「1979」のオマージュだろう。切なさと優しさ、懐かしさと愛しさの滲む淡いトーンがよく似ていて、同時にBase Ball Bearらしい日本語の詩情もしっかり入っている。聴くほど沁みるいい曲だ。(石井)
tuki.「コトノハ」
ドラマ『夫に間違いありません』(フジテレビ系)主題歌となる新曲。死んだはずの夫が生きていた、という中年夫婦の不穏なストーリーに対し、まだ10代のシンガーソングライターは何を歌うのか。かかるプレッシャーは大きかったと思うが、言葉(=言の葉)をテーマに、それが時間をかけて誰かの救いになっていくかもしれない、という希望を描き出す。もっとも、tuki.の震える歌声は安易な楽観に転ぶことがなく、隠したままの嘘や、本当は話したくなかった事実など、誰もが少しずつ抱えている暗部をスッと暴いていくのだ。1番のラストは〈話してよ 聞いてよ 笑ってよ/僕のこと〉とシンプルだが、言葉以上に複雑で苦しい感情が溢れ出す様子が圧巻。(石井)
離婚伝説「ステキッ!!」
R&Bやソウルミュージック経由のグルーヴ、煌びやかなバンドサウンド、リスナーの感傷を気持ちよく引き出してくれるメロディライン。昨年秋の全国ツアーでいち早く披露され、アニメ『ハイスクール!奇面組』(フジテレビ系)エンディングテーマに起用された「ステキッ!!」は、離婚伝説のスタイルを理想的な比率で体現した楽曲だと言っていい。ネオソウル、シティポップの潮流を感じさせながらも、個性溢れる松田歩(Vo)のボーカルと別府純(Gt)のギターによって一瞬で彼らの楽曲だとわかる。そう、ルーツミュージックの含有量の多さと際立ったオリジナリティのバランスこそが、このバンドの魅力なのだと思う。RECに参加した佐野康夫(Dr)、山本連(Ba)、柿沼大地(Key)の演奏も絶品だ。(森)



























