SKY-HIが『THE LAST PIECE』で見た夢とは何だったのか? STARGLOW誕生の瞬間――最終審査潜入レポート

ついに結果発表が始まる。緊張した面持ちの10人がステージに並ぶなか、SKY-HIが登場する。まずは、起業時からずっと思い描いていたというグループ名の発表へ。壮大なBGMと幻想的な映像に続いて、モニターに大きく映し出されたのは、「STARGLOW」の文字。「手の届きそうもない星を追いかけ、そしていつか星のような光を発してほしい」――そんな思いのこもった輝かしいグループ名だ。そして、メンバーの数は5人。つまり参加者10人のうち、合格者は半数ということになる。静まり返るスタジオには、この日いちばんの緊張感が漂う。

張り詰めた空気の中、SKY-HIが最初に名前を呼んだのは、RUIだった。「僕の宝物」と言われた瞬間、RUIの右目からは一筋の涙が零れていく。そして、「自分の人生がこんなにも素敵なものでいいのかなっていうくらい、日髙さんとの出会いは、自分の人生でこれから先も絶対にいちばんの宝物です。絶対に世界に羽ばたこうと思います」と力強く答えた。自分よりも背の高くなったRUIをハグして背中を叩きながら、「おっきくなったなあ」と笑うSKY-HIは、優しい顔だった。


続いて名前を呼ばれたのは、TAIKI。SKY-HIの元へ、力強い足取りで一歩一歩、歩いていく。SKY-HIからの厚い信頼を受け取ったTAIKIは、上を向いて涙を零さないようにしていたが、口を開くと耐えきれずに泣き出してしまう。合格を告げられた彼がまず発したのは、RUIの名前だった。「RUIが最初に呼ばれた時は本当に嬉しくて、RUIの努力が報われてよかった」――。TAIKIの優しさと人としての美しさを強く感じた瞬間だった。そして、「自分も次に名前を呼んでもらえて、BMSGでやってきてよかったと思いました」「日髙さんがラッパーとして俺を見てくださるのが嬉しかった」「星を掴む勢いで、自分のラップで世界を驚かせたいと思います」と未来への意気込みを露わにする。


3人目の名前を呼ぶ前、SKY-HIは一度天を仰いだ。涙が零れないようにしているのか、何かを思案しているのか、それは明確にはわからなかったが、1分ほどの沈黙が流れる。そして、深く瞬きをしたSKY-HIは、KANONの名前を呼んだ。
「本当にあなたみたいな人とグループがやりたかったと何度も思ったし、あなたが俺のパートナーだと、あなたが俺の相棒だと思っています。ちょっとばかし生まれてくる時は違ったけど、あなたがいないと俺は3つ目のグループをこの形で走らせようとは思えなかった。この時代に生まれてくれて本当にありがとう」――。愛の告白のようなSKY-HIの言葉に、KANONは微笑みながら「BMSGでふたり(RUIとTAIKI)と、そして新しいもうふたりとデビューできることが嬉しいです。本当に今、報われた気持ちです。まだまだ日髙さんと一緒に夢を見たいです」と答える。結果発表を見守るMAZZELのメンバーも、それぞれ微笑みや涙を浮かべている。KANONはRUIとTAIKIのそばに行くと、すぐに3人で拳を突き合わせ、互いの合格を喜び合った。


何かを決意したような表情を浮かべたSKY-HIは、4人目のメンバーとしてGOICHIの名を呼ぶ。SKY-HIは、「ただの起爆剤ではなくて、あなたは俺の、そしてグループの翼になれる人だと思う。自由な景色をたくさんグループに見せてくれると思う。そして、それを見ているお客さんが『自由に生きていいんだ』『自分のまま生きていいんだ』っていう勇気を与えられる人だと信じています」。名前を呼ばれた瞬間から泣きそうだったGOICHIは、SKY-HIの言葉に「プロのアーティストになるっていうさらなる夢に向かって、これからも自分のパフォーマンスを世界に見せに行きたいと思います」と宣言し、SKY-HIに勢いよく抱き着く。


そして、STARGLOW最後のメンバーに選ばれたのは、ADAMだった。合格者でただひとり、一般応募から勝ち上がったメンバーだ。SKY-HIは「本当に、最後の最後まで悩んだのも事実。悩ませてくれるところまでたどり着けたのは、あなたの努力と実力」と伝えたうえで、「あと3カ月あげます。これまでと同等かそれ以上の努力をして、トップアーティストまで上り詰めてほしい。今の成長力ならいけると思う」とADAMへ語りかける。期待を真正面から受け止め、力強く頷いたADAMは「『絶対掴んでやる』という言葉を実現できて嬉しく思っています。ただ、本当にここがスタートラインだと思うので、簡単じゃないけど不可能ではないことを可能にした自分に自信を持って、世界を代表するアーティストになりたい」と言い切った。


RUI、TAIKI、KANON、GOICHI、ADAM――。全員が違うアーティスト性を持つ最強の5人組・STARGLOWが誕生した記念すべき瞬間に、現場はあたたかい拍手に包まれる。
しかし、SKY-HIの発表はここで終わらなかった。なんと、STARGLOWとは別に4つ目の新たなボーイズグループをすでに構想しているというのだ。しかも、そのグループを、RAIKI、KEI、KANTA、YUTA、TAICHIの5人を中心に作っていきたいとを突如宣言。名前を呼ばれたメンバーはもちろん、STARGLOWのメンバーも驚きの表情を浮かべる。

そして、「大型オーディションで新しい人を増やすフェーズは、ここで一旦終わるのだと思う。ここからは、今まで出会った人が才能を咲かせていく場を作るのがBMSGのやるべきことだと思う」と会社の方向性を伝え、「もっとみんなで世のなかを変えていきたい。力を貸してください!」と力強く呼びかける。メンバーやスタッフも含め、その場にいる全員が、SKY-HIの言葉に賛同するよう大きな拍手を贈った。
そして最後に、SKY-HIの提案で、RUI、TAIKI、KANONの楽曲「Forked Road」を全員でパフォーマンスすることに。先ほどまで事態を飲み込めず固まっていたメンバーもいたが、音楽が流れると途端に緊張の糸が切れたのか、涙があふれて歌えなくなったり、踊りながら笑い合ったり、握手やハグを交わしたりと、思い思いに感情を解き放つ。涙と笑顔、そして仲間との絆が交錯する最高のフィナーレとなった。




長い物語の終着点――最終審査は、感動の景色とともに幕を閉じた。満を持してデビューが決定したSTARGLOW。そして、また新たな旅立ちを宣言したBMSG。音楽の世界に彼らがいる限り、きっといつまでも夢を見せ続けてくれるのだろう。彼らの描く夢の物語は、すでに始まっている。




































