TETORA 上野羽有音、ラブソングで貫くバンドの生き様 ロックに狂わされた人生だから歌える“愛と夢”とは

TETORAからニューシングル『夢中霧中』が届けられた。〈シャッターが押せないほど好きだよ〉という歌い出しから始まるピュアなラブソングである表題曲は、新鮮な響きを伴いながらも、恋愛だけにとどまらない上野羽有音(Vo/Gt)の生き様や信念が貫かれた1曲で、カップリングの「撞着的関係」「革命イヴ」にもありのままの人生観が滲み出ていて面白い。3月22日からワンマンツアー『TETORA エピソード0ツアー』を控え、活発なライブ活動を続ける一方、ソングライティングの幅や深みも一段と増してきているTETORA。『夢中霧中』の制作や2026年の活動について、上野に話を聞いた。(編集部)
「恋もライブも一緒やなって思いながら書きました」
――今回のシングル『夢中霧中』はリリース前に、収録曲の先行試聴をタワーレコードの店舗でやっていましたよね。
上野羽有音(以下、上野):前にシングルをリリースした時にもやったんですけど、TETORAは配信もしてないから、タワレコに行くきっかけとか、CDを手に取るきっかけになったらいいなと思って。実際に「そのまま初めてCDを予約しました」とSNSに書いてくれてた人もいました。あと、最初の期間に試聴できたのが「夢中霧中」で、その次が「撞着的関係」だったんですけど、「夢中霧中」を聴きたくて行ったら、もう曲が変わっちゃって、曲の雰囲気が違いすぎて「壊れてるのかな?」って思った人がいたとか(笑)。

――確かに「撞着的関係」のイントロはインパクトがありますからね(笑)。いろいろな反応を受け取って、どんな気持ちですか?
上野:めっちゃ嬉しいです。ライブの時は、拳で返事をもらうことが多いので。言葉で感想をもらうことってなかなかないから、「あっ、そういう感性で聴いてくれてるんやな」と思ったりします。あと、CDショップで楽しそうにしてる人たちを見るのも好きで。私も先行試聴期間中にタワレコに行ったんですけど、その時ちょうど、炙りなタウンとINKYMAPと東京、君がいない街がリリースしてて。「うわあ、これや!」「見つけた!」って言いながら、そのCDに駆け寄っていく人たちを後ろから隠れて見ながら、「嬉しいな」って思ってました。
――その人たちには声を掛けなかったんですか?
上野:掛けなかったです。ブースの後ろから隠れて観察してるだけ(笑)。でも、そういう人がいるのは嬉しいですね。私、京都で育ったんですけど、通っていた高校がタワレコの近くだったんですよ。そこに10-FEETがトークイベントで来た時があって。先着で整理券がもらえるイベントだったので、授業をほったらかしにして、「先生、ごめん!」ってダッシュでタワレコに行きました(笑)。最後の1枚を取れたので、めっちゃ覚えてます。
――いい話ですね。前回のシングル『ミッドナイトカモフラージュ』はライブ会場限定販売でしたが、今作との違いについては?
上野:前回のシングルはツアーに向けて作ったCDで、3曲とも「ライブハウスで歌いたいな」って急きょ思いつきで作り出した曲やったから流通は間に合わなかったんですよ。今回はツアーに向けてのCDというよりかは、今のTETORAの新曲として作ったイメージです。
――表題曲の「夢中霧中」は、〈シャッターが押せないほど好きだよ〉という歌い出しが素晴らしいですね。
上野:ありがとうございます。これは「しめしめ」と思って、ずっととっておいてたやつ(笑)。一行目で使っちゃいました。見せびらかすことで幸福度を測るようなことが多いなと思ってて。写真を撮って、SNSに上げて、「見て見て、私幸せです!」みたいな。でもホンマに好きな人を目の前にしたら、カメラとかスマホを触れないんじゃないかなって。そんな感じで、私は隠したくなるような恋をしたい。自分の好きな人が「羽有音ちゃんと〇〇した」「羽有音ちゃんは今、こういうことで悩んでて」って他の人に言っていたら、ちょっと萎えるというか(笑)、二人だけのものにしたいって思っちゃうんですよね。だから〈シャッターが押せないほど好きだよ〉とか〈自慢したくなる距離よりも/隠してしまいたいくらいのアイにしあいたい〉って歌ってます。
――〈スパンコールの雨で濡れている〉も素敵な比喩だなと思いました。
上野:一つの傘に一緒に入ってると、こっちが濡れないように傾けてくれるから、男の人の方が濡れちゃう……たぶん、愛の分だけ濡れちゃうんだと思うんですけど。そのキラキラがすごく光ってて、私には宇宙に見えたっていう……めっちゃ説明してしまった(笑)。あんまり言わへん方が素敵な曲になるのかな?
――(笑)。そういう素敵な瞬間も、スマホやカメラに気をとられていたら気づけないわけで。
上野:そうですね。ライブハウスも一緒だなと思ってて。お客さんがスマホで映像を録りながら観てもいいライブが、最近増えてきているじゃないですか。バンドによってルールは違うから、撮影OKでもNGでも、どっちでもいいと思ってるんですけど、私の場合は「その目でライブを観て」って思っちゃう。恋もライブも一緒やなって思いながら、この曲を書きました。
――なるほど。
上野:とにかく相手に夢中になっていて、自分のことで必死だから、相手の気持ちはイマイチ分かってない、みたいな。「出会わなかったら、こんなに心をかき乱されなかったのに」「出会う前までは、もっと安定した生活ができていたのに」という気持ちと、「この人に出会えてよかった」という気持ち、両方がグワーってなっているような曲です。


――上野さん自身、前にライブで言ってましたもんね。「バンドに気づいちゃって、人生狂わせられた」って。
上野:「狂わしやがったな!」と「狂わしてくれてありがとう!」、どっちもあります。
――恋愛に夢中になる感覚とライブハウスで夢中になる感覚、この2つは上野さんの中で自然に重なるものなんでしょうか?
上野:そうですね。自分の中では「ラブソングを書こう」ってめっちゃ意識したり、「ライブハウスのことを書こう」と思って書き始めるようなことはなくて。どっちも含めて生き様の曲だと思ってます。私の人生を全部歌ってます。



















