新着MVランキング:稲葉浩志が刻む歴史的カバー 世代を跨ぐ名曲「タッチ」に注いだ情熱

MV Chart Forcus

 毎週更新される「YouTube Music Charts」ウィークリー ミュージック ビデオ ランキングより、MVをはじめとした音楽関連の新着動画から上位10作品/楽曲を取り上げ、ランキング化&レビューしていく連載「MV  Chart  Focus」。3月6日〜3月12日のウィークリー新着のTOP10は以下の通り(※1)。

1位:稲葉浩志「タッチ」MV
2位:サカナクション「いらない」MV
3位:レミオロメン「3月9日」THE FIRST TAKE with 晴れ風ACTION
4位:MON7A「僕のかわい子ちゃん」MV
5位:kz × TAKU INOUE feat.初音ミク「クロスロード」MV
6位:優里 × MON7A「僕のかわい子ちゃん」acoustic cover
7位:ちゃんみな「Let you go feat. HIROTO (INI)」MV
8位:チャーリー・プース「Home (feat. Hikaru Utada)」MV
9位:Watson「今日という日は (feat. T-Pablow)」MV
10位:King & Prince「Theater」from『CDTVライブ!ライブ!』

 今回取り上げるのは、稲葉浩志の「タッチ」のMV。現在開催中の『2026 ワールドベースボールクラシック』(『WBC』)のNetflix大会応援ソングとして企画されたもので、B’zのボーカリスト・稲葉浩志が野球アニメの金字塔『タッチ』(フジテレビ系)の主題歌をカバーしたことで大きな話題を呼んでいる。長年、J-POPシーンを代表する歌い手のひとりとして活動してきた稲葉だが、意外にも公式にカバーした楽曲はそう多くはない。そんな彼が今回、世代を超えて歌い継がれるアニメ主題歌、しかも女性ボーカルの曲に挑むというのは、大きな驚きと期待をもって受け止められた。そして蓋を開けてみれば、“稲葉節”とも言えるエモーショナルな歌唱が炸裂する一方で、原曲とはまた違った緊張感や切実さが前面に押し出された作品に。誰にとっても聴き慣れた楽曲に、これほど新鮮さを感じられることに、稲葉のボーカリストとしての凄みをあらためて感じた人も多かったことだろう。

稲葉浩志 / タッチ

 そんな異色のコラボだが、MVはいたってシンプル。スタジオというには無機質な空間(どこかロッカールームっぽさもある)で、バンドメンバーが取り囲むなか、稲葉の歌唱パフォーマンスが展開される。〈お願い〉というシャウトのあと、印象的なギターリフのイントロにのせたタイトルバック。歌う稲葉とバンドの演奏シーンを交互にフィーチャーするようなカット割りで映像が進む。ちなみに、今回演奏を担当したのは3ピースロックバンド・DURAN。フロントマンのDuran(Vo/Gt)がそつのないプレイで楽曲を牽引する一方、原曲にはないシンセやキーボード、電子加工されたドラムのアレンジがロックテイストのなかにキャッチーさを与えている。また衣装に目をやると、カットが切り替わるごとに稲葉のジャケットの色が、ブルー、イエロー、グリーンを行ったり来たりしていることに気がつくはず。また、前述した3色のカラーやレッドの照明を使用する演出は『WBC』のロゴカラーにも通じ、大会のことを意識してなされたものかもしれない。

 1コーラス目が終了後、長めの間奏ではバンドの演奏をしっかり見せながら、時折稲葉がシャウト。このあたりから、さまざまなフィルターやエフェクトを駆使し、映像にも遊び心やインパクトがプラスされていく。2コーラス目のキメの〈タッチ〉をバンドメンバーのカットで見せたり、〈手をのばして〉の歌詞に合わせ、手を高く上げる稲葉には、エンディングに向け盛り上がっていく楽曲の勢いがそのまま表れているかのようだ。

 ラストのAメロの歌い出しは、ハイトーンでじっくり聴かせるように歌う稲葉のアップから。最後のフレーズをダイナミックに歌い上げたあとの渾身の〈こんにちは〉のシャウトは、思わず「これぞ稲葉」と快哉を叫びたくなる圧倒的な風格に満ちていた。

『2026 ワールドベースボールクラシック』|Netflix 大会応援ソング|稲葉浩志「タッチ」|スペシャルムービー

 今回「タッチ」をカバーするにあたり、稲葉は「オリジナルへのリスペクトをこめた上で、自分の情熱を注ぎ込んで歌わせていただきました」とコメント(※2)。本作が応援ソングに選ばれた背景には、原曲の持つイメージや幅広い世代に浸透している普遍性への評価があったと思われるが、そこに稲葉の“情熱”が選手や観客を鼓舞するアグレッシブさを加えたことは間違いない。今大会、日本・侍ジャパンは惜しくも準々決勝敗退に終わってしまったが、稲葉版「タッチ」は歴史的カバーとして多くの人の耳に残り続けることだろう。

 
 
 
 
 
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※1:https://charts.youtube.com/charts/TopVideos/jp/weekly
※2:https://about.netflix.com/ja/news/2026-world-baseball-classic-koshi-inaba-touch

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